2015年11月27日金曜日

オリジナルのおみくじは意外と凶が出やすい

・昨日は満月でした

・幻想的な宸殿前庭のライトアップ

ということで青蓮院ライトアップについて書いていきます。青蓮院といっても多くの人には馴染みのないものだと思いますし、かくいう僕もこれが初の来訪だったりするのですが、実は由緒ある格式高い場所なのですね。

・こちらは相阿弥の庭

青蓮院が造られたのは平安後期の久安6年(1150年)のこと。丁度近衛天皇(伏見に陵墓があります。画像などはこちらの記事を参照。)の治世の頃ですね。ちなみにこの頃はまだ1人の天皇につき1つの元号が無かった(※日本で一世一元の制が定められたのは明治に入ってからのこと)ため、ふとしたことで元号が変わったりしました。たとえばこのときの元号(久安)はハレー彗星の出現(1145年)に伴うものでしたし、次の元号(仁平)に切り替わるのも防風や洪水といった天変地異がきっかけでした。また当時の元号は中国の歴史書などからの引用が主だったようです。



青蓮院は天台宗の寺院で、その起源は比叡山にあると言われています。「門跡」と名前にあることからも分かるように、ここは天皇家と深い繋がりがある場所なのですね。一般的に門跡というのは出家した皇族(法親王)が居住した寺院を指す言葉なのですが、江戸時代後期の1788年には天明の大火に起因して一時期に仮の皇居となっていたこともあり、青蓮院はその地名を取って粟田御所と呼ばれることもあるそうです。

・室内の写真はこれのみ

ちなみに今回の秋季限定の夜間拝観、入場料は1人800円となかなかの高額。秋のライトアップというと紅葉がメインのようなイメージなのですが、とりわけここに関してはそうでもない感じです。冒頭写真にある苔庭に敷き詰められた青色のLEDがメインだと思うんですよね、多分。ともあれ境内にはちゃんと紅葉もありますし、室内の方にも色々と見るものがあるので値段相応の価値はあるような気がします。

金鑽元三大師 神川
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青蓮院はおみくじの始祖としても有名な元三大師ともゆかりのある場所ということで、伏見の長建寺同様にオリジナルのおみくじが引けたりもします。(正しい手順だと拝んでから引くことになってるんですね、あれってw)大師曰く「後世の複雑な社会に処して行く人々の困難を救うために、観音様から戴いた処方箋があります。これを自分の像の前に置き信心をこめて吉凶を占えばその願いに応じて招福を知らしめるであろう」とのことなのですが、今回の結果やいかに...。



なんと凶ではないですか、なんて日だ!なんか「何をやっても上手くいかないとき」みたいに書いてましたけど、それと何の因果があるかは別として今僕は食あたりと戦っているのであり、なかなかバカにはできないなと思っていたり。(まぁだとしたらこれまでの大吉に起因していいことがあって然るべきなんですけどねw)ともあれ信心は大切ですよ、信じる者は救われる。だけど盲信すれば足元をすくわれる。ここが難しいところです。

・幸運の銭亀は300円也

それから売店では銭亀のお守りを買ってきました。一緒に行っていた彼女と1つずつ持っています。(たぶんこういう使い方で合ってるはずw)余談ですけどうちの彼女は結構な晴れ女のようで、毎回肝心な時には晴れるんですよね。昨日も夕方くらいまでは曇ってたんですけどそこから一気に晴れたくらいですから。

・なかなかいい眺めです^^

境内には高台のようなところもあり、そこからは寺院を一望できます。角度的にLEDの庭園は見えないのですが、遠方には市街地も見えたりとなかなか良い眺望を楽しめます。

・日吉社と竹林

あとその高台のところには日吉社という神社が1つあります。名前からして滋賀の日吉大社と何かしらの縁があるところではあると思うのですが、詳しいことは分かりません。ただ横手の竹林は結構綺麗です。なんだか洛西のきぬかけの道を彷彿とさせる趣ある場所です。

・青不動が鎮座するお堂

それから青蓮院の見所がもう1つ。青不動というものです。そもそも不動明王というのは天台宗において大日如来の化身とされる神様なのですね。大日如来は宇宙を司る崇高なものとされているため、直接には拝みにくい...という理由で不動明王を拝むという伝統が生まれたようです。青不動ということは赤とか黄色もあるのかと言われれば、勿論あります。赤不動は真言宗の総本山である金剛峯寺に、そして黄不動は大津の三井寺こと園城寺にあるのです。(赤青黄っていうのは別段某宗教団体に関係があるとかではなく、仏教で重んじられる色なんですよ^^)

古田瑞洸『青不動』日本画
古田瑞洸『青不動』日本画
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ちなみに正式名称は不動明王二童子像。「像」なんてありますけど、実物は絵画なんですよね。11世紀に制作されたと伝えられるこの作品(もとい本尊)は国宝に指定されており、当然ながら普段は見ることができません。次の開帳がいつかは分かりませんが、いつか見てみたいものです。

・青蓮門院を見守っているかのような大楠

それから青蓮院の門前にある大きな楠の木。京都市から天然記念物の指定を受けているもので、全部で5本あるのですが、話によるとその樹齢は700~800年とのこと。京阪電車の車内広告にも出ているので見たことのある方も多いかもしれません。成程その姿は雄大にして荘厳であり、なんだか力をお裾分けしてもらえそうな出で立ちです。

・本日のベストショットはこちら!(ライトアップは来月6日迄...)

まぁ力を貰いすぎたのか、或いは凶を引いてしまった所以なのか、帰宅後僕は体調不良に見舞われて結果として今日は仕事を休むこととなってしまったのですが...。まぁ考えようによっては悪運をここで使い果たしたとも言えるワケですから、これで残りの1ヶ月を実りあるものにできるということかもしれませんしね。ポジティブに行きましょう。そして明日は職場に復帰します。そんなところですが本日はこれにて失礼します。ジベリってことで。

食あたりは冬の方が多くなるから気をつけろ

・作者の体内にウイルス・ミスがログインした模様

本来であれば今日は僕は仕事に行っているはずなのですが、どうやらどこぞからウイルス・ミスをテイクアウトしてきてしまったようであり、体がウンともスンとも言わない状態で、結局自宅療養することになってしまったのであります。



ちなみにこのエピソードは「柳の下にどじょうは沢山いる」という話の中に出てくるもので、アニメだと165話に該当しますね。ヅラもとい桂小太郎がウイルス・ミスになるという超絶ギャグ回ですが、当の石田彰さんも笑い過ぎで収録できなくなるくらいだったそうなw

・知らねぇぇ!こんな廬山昇龍覇知らねぇぇ!

というか最近の「銀魂」。我らが桂、大活躍っすよ。ギャグ方面じゃなくて真面目に戦っててまるでジャンプ漫画のよう。(←褒めてますw)というか桂さん意外とムキムキだったんすねっていう。いつの間にライザップしてたんですかっていうw

・なるほど狂乱の貴公子の二つ名に偽りなし(これは第564話より)


いや胸熱っすよ銀魂。ちなみに今は桂さんは一旦終わりで坂本辰馬のターンになってます。アニメでは次から「将軍暗殺篇」入るんだっけか?いや、まだやってないエピソード結構ある気がするんだけど、どうなんだろう...。時期も微妙だし、次回はBGオンリーの可能性も微レ存かと...。まぁそんなところですが、この記事は一旦ここまでとして、一眠りしたあとに次は昨日行ってきた青蓮門院のライトアップについて書きたいと思います。


2015年11月14日土曜日

伏見分離論(仮)

・納屋町商店街

今日はあの後ちょびっとだけ石黒さんのところに行っていたのです。石黒酒場には2つコースがあって、1つはおばんざいが食べ放題(1000円)で、あとは別途に飲み代を払うもので、もう1つは一杯だけ飲みたい人向けのバルコース。これは500円でおばんざい3種と飲み物一杯が楽しめるというお得なもの。今回は後者のちょい寄りコースでのお送りでした。

・チンザノロッソは600円也

イベント終了後、すぐにでも行くつもりだったのですが、時間がまだ19時になっていなかったので、それまでの繋ぎの時間は近くのカフェバーで過ごすことに。店はagio iichan.chiというところで、丁度不二家の2階にあるところです。ノートと本を広げてしばし自習タイム。

・これで500円なので結構お得です

そして開店間もない石黒酒場へ。先述のバルコースはルール上「短時間(30分くらい)で帰る人限定」とされているのですが、まぁカラオケ屋のように30分きっかりで帰ることになるような無粋なものではありません。ルールなんて心得でしかないのです。店に入ると先客が一人。毎度お馴染みの某酒造メーカーの職員さんです。石黒さんと3人、とりあえずと今回のイベント(清酒まつり)について寸評をアレコレ...。そうこうしているうちに話題は伏見のまちづくりについてへと移行。



ここには店長の石黒さんを筆頭に伏見を愛する人が多く集うのですが、何も伏見を愛するのは地元の人だけではありません。僕とその酒造メーカーの職員さんはいわば外様。僕なんて新参者もいいところです。それに立場もてんでバラバラ。だからそれぞれに見え方も問題意識も違います。ただ1つ共通なのは伏見を想う気持ちだけ。盛り場というのは基本的にクリエイティブな空間だと思っているのですが、まさにここはそれを地で行く場所ということになるでしょう。


で、伏見をどう盛り上げていくか。売り出し方って結構重要です。そもそも外の人が「京都」って聞いても伏見のことを思い浮かべる人は少ないでしょう。だけど伏見をお酒の街として認識している人は多いはず。そこで「あ、伏見は京都なのか」なんて言う人も実際に居ました。いわゆる洛中洛外で言うと伏見は完全に洛外。全く別の文化圏なのです。実際に伏見は短いですが伏見市という独立した自治体として機能していた時期もありました。平成に入ってから市町村合併は猛スピードで進みましたが、ここらでそれに逆行する形の市町村分離をやってみても面白いんじゃないかな?と僕は思うのです。


酒造メーカーのおっちゃん曰く、実際にそう言う声も少なからずはあるようなのですが、まぁ実際にそれを実現に移そうという動きにまでは至っていないのが実情。(だいたい市町村合併はあっても、市町村分離というのは滅多にないことですからね...。)でも面白いと思うんですけどね、こういうの。だって仮にそれが実現しなくとも、十二分にアピールにはなるじゃないですか。伏見ここに在りと示せるのは元より、市内でのイニシアチブも手にすることができるかもしれません。勝とうが負けようが勝ちの戦なんですよ。とはいえこれはまだまだ発展途上、十二分に肉付けをして僕が形にしたいと思いますw



第二の売り出し方はセット戦略。現在京都府は伊根や宮津といった地域を「海の京都」、亀岡や南丹、福知山といった地域を「森の京都」としてPRしているのですが、同じような形式で伏見を売り出そうということです。あくまで京都の一部として伏見を売り出すという、まぁ面白みはないですが堅実な戦略であると言えるでしょう。ネーミングは「水の京都」(仮)ということにしましょうか。伏見ナンバーワンの観光資源である伏見稲荷大社には敢えてあまり触れず、売り出すのはあくまで伏見桃山の一帯および琵琶湖疏水の流域。もちろん伏見港も外せません。だいたい内陸に港があるなんて珍しいことなんですから、これを目玉にしない手はありませんよ。

・オランダの最新「風車」は、ホテルも観覧車もついているらしい(TABI LABO)
http://tabi-labo.com/180396/dutchwindowwheel/

それからこれは少し前のTABI LABO発信のニュースなのですが、こんな感じのものを宇治川の流域に作ってみたらかなりの宣伝材料になるんじゃないかと個人的には思います。いつぞやの記事に書いたと思うのですが、もともと伏見は宿場町だったのです。しかしながら現状伏見桃山には宿というものが殆どありません。これだと格好の観光材料になるのは勿論のこと、宿も発電もできてしまうので一石二鳥どころか一石三鳥ですよ。



ちなみに桃山界隈で楽天トラベルに登録されているのは今年5月の記事で登場したアーバンイン伏見のほかに伏見長屋というゲストハウスの2軒のみ。他にも数軒、ゲストハウスや民宿のようあものはあるのですが、やっているのかどうか外からでは分からないようなところが多いのが実情です。まぁこの辺は誘致するほかはないでしょう。スーハーホテルみたいな廉価なのを1つと、それから高価な旅館を1軒。とりあえずそのくらい誘致しましょう。おそらくそれが起爆剤となるはずです。

・我が愛しの伏見港からの眺望(12日、三栖閘門より撮影)

ともあれ、やはりこういう場があるのはいいことです。石黒さんは100回でひとまず酒場経営は辞めるようですが、次に一体何をするのか...。まぁきっとなにか考えがあるのだろうなとは思いますけどね。ということで伏見について話したい人は勿論のこと、おばんざいに舌鼓を打ちたい人も是非とも土曜の夜は石黒酒場に行ってみてください。(たまに休みがあるのでその辺はこちらにて確認を^^)そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

伏見の清酒まつり2015

・今年も大盛況でした^^

昨年に引き続き、今年も行ってきました伏見の清酒まつり。2年目となる今年も相変わらずの大盛況で、大手筋商店街は沢山の人で賑わっていました。

・お馴染みの鳥せいも参戦!

2年目ということでパワーアップした点も幾つかあって、たとえばフードブースでは本来大手筋商店街にはない鳥せい本店とサンチョ、そして清和荘が特別出店。ちなみに鳥せいは唐揚げ(後述)と冬の定番である粕汁を販売しており、サンチョはサラダや肉類を、清和荘は松花堂弁当のようなものを売っていました。



ちなみに僕が参加した時間帯は第3部の17時~18時半の回。最後ということで売り切れているものもあるかな?とやや心配はしていたのですが、そういうことは特にありませんでした。あと参加料は去年から200円値上がりして2000円に。それで使える金券は1000円分なのでちょっと損したような気分も。余分の1000円は一体誰の収益になるのやら...。

・こんな感じで飲み歩きします

あと去年はなくて困ったので今年はトレーも買いました。これで金券を一枚消費することになるのですが、200円値上がったんだからこれくらいサービスしてくれてもいいのにな...とは思いましたね。まぁこのイベント自体、まだ2年目ということで手探りの部分もあるんだと思うので今後の改善に期待したいところ。



ちなみに飲んだ日本酒は富翁の原酒に始まり英勲の熱燗や個人的に好きなお酒でもある桃の滴(松本酒造)など計6杯。個人的にヒットだったのは月桂冠の伝匠というお酒。何でも店舗限定流通の限定酒ということで一杯300円なのですが味はそれ相応。

・フードメニューも色々...


フードメニューでは更科のオードブル(200円)や阿津満(あづま)のお寿司(500円)など合計で5品1500円分。サンチョのサラダは初めて食べたんですけどなかなか美味しかったですね。阿津満のお寿司も相変わらずの美味しさだったのですが、残念だったのは鳥せいですよ。300円で売ってた唐揚げを買ったんですけど、これが冷めきってるんですよね。天下の鳥せいにあるまじき失態ですよ、あれは。スペースの確保とかいろいろな問題があるのだとは思うのですが、ここも来年に向けて改善して貰いたいところです。




まぁ楽しかったですけどね、それでも。ただやっぱり改善点が多いのも事実。伏見がさらに盛り上がるよう、来年は更にパワーアップしたこのイベントに期待したいと思います。冬場はこれから先も日本酒系のイベントが沢山あるのでこれからも伏見から目が離せませんよ...ということで1つイベントの宣伝を。2009年から毎年ココン烏丸で開催されているSAKEZO'S BARが今年は会場を拡大して開催されるようです。もう始まっているようなので、近くに立ち寄ることのある方は是非。僕も今年こそは参加したいと思います。今日はもう一本書きたい記事があるので一旦ここで失礼します。

2015年11月12日木曜日

連載開始!!!

あの告知から気付けば4ヶ月が過ぎているのですが、別段忘れていたワケでも作者がドラクエをやっていたワケでもありませんし、況してやスタッフが次々に不審死を遂げたワケでも身内が分裂騒動に見舞われたワケでもありません。エンブレムで炎上もしてませんし、野球賭博にもかかわっていません。遅れたのには2つの理由があります。1つは主要人物の設定に急激に迷いが生じ、結果としてストーリーの始まり方がやや変わったこと。もう1つには作者の多忙がとてつもなく極まったことが挙げられます。・・・とまぁ下らん前置き及び見苦しい釈明は置いておくとして、とっとと小説を進めていきたいと思います。

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プロローグ
中書島酔いどれブルース

京阪電車の赤黄色の車体が閑散とした暗闇の中を突き進んでいく。2階席の前から3番目。一人の男が座っている。車窓にもたれかかり、もう片方の手で喜怒哀楽のおおよそどれでもないような表情で夕刊紙を眺め、小さなため息を零している。彼の名は副島正。おおよそ主人公の登場シーンではないだろうが、残念ながらこれがこの物語の主人公だ。というか俺だ。淀屋橋駅で買った発泡酒は京橋を迎える頃には空っ穴となり、夕刊紙のクロスワードは枚方を迎える前に字で埋められた。しかし淀を通過した今も明日のスケジュールは埋まっていない。「明日は休みか...」そんなことを呟きながら上の空になっていると、次の停車駅を知らせるアナウンスが車内に響いた。「次は中書島、中書島...」そう、この駅で降りるのだ。

・中書島駅ホーム

花街、そして繁華街としてかつてはあの祇園よりも栄えていたという中書島だが、それも今は昔。スナックや新手のガールズバーが並ぶ以外は、いかにもといった佇まいの古き良き酒場がひしめき合うのみだ。メインストリートのどんつきには黄色い看板の中華料理屋があり、その手前の路地に白石酒造という酒屋がある。別段あまり多くの人の知るところではないのだが、そこが週に1度だけ酒場営業をしていることを知る人は更に少ない。

「あぁ副島君、待ってたよ。いつものでいい?」

そんな威勢のいい声が俺を迎える。ここの店主とは長い付き合いになる。俺は「あぁ」と小さく答え、お決まりの席に座り込む。程なくしてサッポロラガーの中瓶が運ばれてくる。

「なんか今日は一段と疲れてるね。何かあった?」

「何もないからこの通りの冴えない面なんすよ。」

そんな他愛もない話をしながらコップに注いだほろ苦いアルコールをぐいっと飲み干した。ガキの頃は気を落としているときは大方何かがあった時だった。テストで悪い点を取ったとか、友達と喧嘩しただとか、好きな女が彼氏持ちと知ったとか...。しかし大人になれば何かがあって気を落とすことなんてそうそうありはしない。不も可もない味気のない日々に心底うんざりするものだ。変わらないことに気を落とし、そして今宵も酒の国に逃げるのである。

「副島君、遅れてすまんね。」
振り向くとかつての上司である中島さんの姿があった。

「今日も嫌なニュースがあった。君の言う‘最高の日’はいつになったら来るのかね...」

「僕はもう辞めた人間ですからね...。でもその日が来ることは今でも祈ってます。」

俺かかつて新聞記者だった。京都に根を張る地方紙、平安新聞の記者として4年と少々の月日を過ごした。いい記者だったかどうかは分からないが、それなりに名のある賞もスクープも幾つか取ったことはある。ではいい社員だったかというと・・・そうでもないのだろう。でなければ今も俺は記者をしていただろう。

「今でも思い出すよ。君が面接の時に言っていたこと...。」

この人の名は中島一喜。俺の恩師に当たる人だ。この人が居なければ俺は大学院に進学して豊富な教養を得る代わりに説明しようのない何かへの苛立ちを糧にチンピラにでもなっていたことだろう。まぁ今の自分を俯瞰的に見ればやはりチンピラ同然なのであり、結局は同じことなのかもしれないが。

「もう5年も前の話ですよ。懐かしいですね...。みんなは元気っすか?」

「あぁ元気だよ。私はやはり寂しいがね...。戻る気はないのか?」

「あれば辞めてませんよ。」

「済まないな...」

「中島さんに謝ることはあっても謝られる覚えはありませんよ。」

「君になくても私にはある。君が記者として、ジャーナリストとして大勝負に出ようとしていたとき...私は何もしてあげられなかったんだ。」

「仕方がないっすよ、あれは。それにあれは僕の喧嘩です。
子どもの喧嘩に親が出るなんてバカバカしいでしょ?」

「バカバカしいのは部下一人守れなんだひ弱な上司だよ、済まなんだな。」

この如何にもいい人オーラ全開の上司は、こうして顔を合わせる度に俺に謝るのだ。俺はあのとき会社に絶望したかもしれないが、この人に絶望などしていない。謝られて心苦しい俺のことも考えろと言いたかったがそれは無理なことだった。彼はそれを知っていたとしてもなお謝らなければ心苦しいと感じているのだろうから。

「ホントに景気の悪い2人だ。ほら、鯖寿司サービスするからちょっとは明るく。」

白石さんは笑いながら小皿に入った鯖寿司を差し出した。僕らはそれを頬張って飲み込むと顔を合わせて笑った。

「明日その日が来るなんてことは稀かもしれないけど、変化くらいはあるかもしれないよ。」
白石さんはお猪口に入った日本酒をチビッと飲むとそう言った。

「だと良いですね。そしてそれがいい変化であることを祈りますよ...。」
中島さんが続ける。そうだ、変化すればいいってもんじゃない。現状にうんざりしていたずらに変化を求める気持ちは理解できるが、実際はそんな単純じゃない。それが「いい変化」でないのならまだ変わらない方がマシなのだ。

「じゃあそれを祈って乾杯!」
そう言うと白石さんは日本酒の注がれたお猪口を2つ突き出した。

「まだ何もないっすけどね。」
そう言いながらも俺は差し出された盃を受け取った。

「笑う門には福来る、乾杯してりゃそれ相応のいいこともついてくるもんだよ。」
白石さんはそう返した。成程そうかもしれない。シケたツラで口説けるほど幸運の女神は甘くない。まぁそれで母性本能に訴えかける戦法を取るのなら別だが...。

「それもそうだな。副島君、明日は休みなんだろ?じゃあ今日は気にせず呑もう。」
中島さんはお猪口を手に取ると上機嫌にそう言った。

「そうっすね、じゃあ朝までコースで。」
そうだ、もうとことん呑もう。今日はそういう日なのだ。

「あ、じゃあ客も居ないし店閉めて一緒しよっかな?」
と、白石さんはにこやかに職務放棄を宣言。何のことはないいつものノリだ。

・中書島歓楽街

かくして3人して乾杯。そして勢いそのまま飲むこととなり2軒目、そして3軒目と呑みの旅路は明け方まで続いていった。ともあれ男にはこういうバカを教えるいい意味での悪い先輩が必要なものだ。幸せなことに俺はそうした先輩に2人も巡り会えた。それはすごく幸せなことなのかもしれない。

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・おまけ(副島さんとSenichiさん)

Senichi「はい、という訳でプロローグ終わったけどどう?髪切った?」

副島「切ってねーよ、つうか告知から4ヶ月空けて連載スタートって何?バカなの死ぬの?」

Senichi「いやいろいろ忙しかったんだってばよ。」

副島「・・・まぁそれはいいとして何これ?カッコ悪っ!主人公としてあるまじき登場シーンだよね?」

Senichi「うるせー、ありのままを伝えただけだろーが。レリゴーした結果だよ。」

副島「寒すぎんだろ、エルサでも凍え死ぬわ!いいのこれ?何ホントに俺の日常伝えるだけ?大手筋大捜査線とか、観月橋を封鎖せよとかやらねーの?」

Senichi「やらねーよw お前は一生そこでベストガイでも観てろ。」

副島「観ねーよ。じゃあせめて副島正と鉄人兵団は?」

Senichi「・・・一番ねーよ、よく最後にそれぶち込んできたな。じゃあ最後に次回予告シクヨロ。」

副島「ということで次回の便利屋探偵副島正は
①副島正の宇宙開拓史
②副島正と恐竜
③作者、星になる
の豪華3本立て。はいジャ~ンケンp..」

Senichi「やらせねーよ!つうか俺殺したら連載終わるからね。もういい、俺がやる。ということで第1話は副島正、カンヌで大迷惑。絶対観てくれよな!」

副島「行かねーよ、つうかこれダブルボケって不味くね?」

Senichi「だから‘アイツ’が必要なんだろ?次回からちゃんと登場すっから。」

副島「おっとそうだった。ついでにヒロインも来週からだっけ?」

Senichi「だね、ってなワケで次回は第一話、『何てことない日常』(仮)。たぶん今月中には書きますんでそこんとこヨロシク!」

副島「なんか田代まさし並みに説得力ないんだけど・・・。」
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~あとがき~
もうストーリーは固まってるんで、もう流石に1ヶ月単位で間が空くことはないと思うのですが、僕も色々しなきゃいけないことが山積みでねw もうフリーでジャーナリストでもできれば一番いいのかもしれないんですけど、そんなに甘くはないですからね。まぁその辺ちょっと考えがあるのでそれはまたの機会に改めて...。そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリってことで。

2015年11月10日火曜日

街に出かけたら山本太郎さんがいた話

・京都マルイ前で演説をする山本太郎さん

今日は休日でちょっと彼女と一緒に河原町まで出掛けていたのですが、そうすると京都マルイの前に黒山の人だかりが。一体何かと思ったらそこにいたのは山本太郎さんではないですか。我らが生活の党に移籍したのは昨年の暮れの話。もともと山本さんに関して僕は安倍政権のガス抜き要員くらいにしか思っていなかったのですが、その後やっていることを見ているうちにその評価は次第に変わっていきました。

・多岐に渡る山本さんの話

そして気付けば稀に見るまともな政治家の一人になりつつあります。安保法制がアーミテージレポートの丸写しであることを国会で追及したのはこの人でしたし、生活の党では希薄になりがちだった若者支援の政策(たとえば奨学金問題など)について真剣に向き合ってくれているのもこの人です。

・これは法人税についての解説

山本さんの話は原発から自民党と経団連の癒着、更には先述の奨学金問題と多岐に渡り、多くの人がその話に耳を傾けていました。若い人の姿が結構目立っていたのも特徴で、そういう意味でもやはりこういうアイコンになる人を中心に持ってこなきゃいけないんだなと思ったところでもありました。

・熱弁をふるう山本さん

デートの予定がつっかえていたので最後までは聞けませんでしたが、とても有意義な話を聞けたように思います。個人的には質疑の時間がもう少しあればな...と思ったのですが、まぁそれは次の機会にということで。個人的に是非とも山本さんには言いたいことがあるのでねw



言いたいことっていうか「お願いしたいこと」でしょうか。まぁ1つには不正選挙に関するもの。このブログでも言っているように、小沢さんには1度それに関して国政調査権の行使をお願いしていたのですが、その後音沙汰無しなんでね...。もう1つは原発に関して。事故を起こした福一を含めた国内の原発の安全管理をしているマグナBSPという会社の関係者を証人喚問して貰いたいというものです。

・梶井基次郎の小説でお馴染みの檸檬ケーキは700円也

ちなみにデートはその後、今年8月にリニューアルオープンした京都BALに行ってきました。東京でも人気というマルゼンカフェにも行ってきましたよ。丸善といえば梶井基次郎。先代の店は10年前にその檸檬爆弾で消し飛んでしまい(←嘘)、その後跡地にはスーパージャンカラが出来たのですが、10年を経て復活ですよ。カフェの目玉メニューの1つは、そのレモン爆弾をあしらったケーキ。レモンの皮の上に盛り付けられた可愛らしい一品です。

梶井基次郎全集 [ 梶井基次郎 ]
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あ、というか俺も小説書かなきゃな。副島正で伏見を街おこし。副島カフェなんて出来ちゃったりして...。作者考案のメニューとか作者の好きなお酒も置いてるっていう。(←まぁその前にとっとと小説を書き上げろよっていうw)ちなみにこの店のもう1つの名物はハヤシライス。僕もハヤシライスは好きなので、次に行ったときには是非とも食べてみたいものです。丸善は書籍が充実しているのはもちろんのこと、文具の品揃えもなかなかのもの。下手するとここだけで半日は潰せるくらいの規模です^^

・クリスマスが一歩ずつ近付いてくる

帰り際にはイノブン四条本店にも立ち寄りました。屋上テラスは早くもクリスマス仕様になっています。少しずつあの季節が近付いてきているのですね。そして今年も残すところおよそ1ヶ月半。まだまだイベントが沢山ありますが、とりあえずの楽しみは今週末の清酒まつり。それに向けてまた仕事を頑張りたいところです。それでは皆さん、本日はこれに低失礼します。ジベリってことで。

2015年11月7日土曜日

飲み屋レビュー:大寅

・本日のお店はここ

今日は仕事終わりにまた一人呑みに出掛けてきました。土曜と水曜は基本、次の日が休みなんでそういうのやりたくなるんですよね。で、今日はどこに行っていたかというと伏見桃山は近鉄桃山御陵駅真向かいの高架下にある大寅というお店。

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「高架下にハズレなし」は僕の見つけた不文律なのですが、この界隈はぶっちゃけ大中ラーメン以外行ったことがなかったのです。この店もずっと気にはなっていたんですけどね。理由の1つはこの店も含めてどの店もちょっと入りづらそうな雰囲気があったことです。今回だってまた例によって付近を2~3回ステルス状態でスクランブルしたのちの入店でしたからねw

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店に入るとまずは熱燗(小:一本400円、大は780円)&おでん(1つ100円~)を注文。このときお客さんは僕1人。そのうち口やかましい常連が来て賑わいそうな空気感はあったのですが、結局最後まで僕の貸切状態が続いていました。(あ、今回写真はありません。客が僕一人なのに対して店員が2人で、とても写真の撮れる環境じゃなかったのですw)おでんの他に食べたのはおからの和え物と焼き鳥で、お酒は熱燗をもう一杯。それで会計は2200円くらいだったと思います。

・リーズナブルだけど美味しい大黒ラーメン

〆のラーメンはまたしても大黒ラーメンにて。今回は割引券無しでしたけど、それでも一杯500円ですからね。財布に優しいことは変わりありませんよ。かくして本日の一人呑みはオシマイ。明日は天気も悪そうなので家でノンビリ...してたいのですが、実は先日より実家から尋ね人が京都に来ているのでその観光案内に追われることとなりそうです。そんなところですが本日はこれにて失礼します,ジベリってことで。