1、台湾を忘れないで...
はじめにこんなことを言うのも何ですが、鳩山首相がしばしば提言するところである「東アジア共同体」,僕としてはこれに賛成することは出来ません。だいたい非現実的なんです。EUのような形のものを想定しているのでしょうが、そんなものが出来る筈がありません。それに、そもそも「あなたのおっしゃる‘東アジア’ってどちらの国を指してらっしゃるのでしょうか?」ってコトなんです(笑)
・中国⇒かけ離れた価値観,民主主義とは程遠い国家体制
・韓国⇒民主化こそしているが、価値観や考え方が大きく異なる
まぁ北朝鮮っていう国もありますが、さすがにあれは論外というコトでwww
何が言いたいかというと、真にアジア共同を考えるのであれば、まず考えるべきは台湾だというコトです。民主化もしていますし、価値観の上でも非常に近いと考えられるからです。(因みに言うと、こんなデータもあります。)鳩山首相の描く東アジアの地図には、台湾が見えてこないのですが、これは非常に悲しいことですね。僕に言わせれば日台間の連帯の無い東アジア共同体は無意味も同然なのですが...。
2、資源と共同体
ご存知の方も多いと思いますがEUはそもそも、「ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体」というところからスタートしているのです。要するに資源の共有がスタートだったと云えるのです。しかし,現実問題として中国や韓国が日本とガス田開発で折り合いを付ける,といったことが考えられるでしょうか?難しいでしょうね。つまり、資源での合意は難しいと考えられます。
3、価値観の共通は可能か?
少なくとも現段階においてEUは、キリスト教という共通する価値観を有しています。アジアにはこういった共通的な価値観があるでしょうか?答えは「No」です。いわゆる「アジア価値観」というものは、ヨーロッパ的な価値観とはそもそも性格が異なっているのです。
ヨーロッパの価値感というのは、元来,どうも二元論的な傾向にあります。例えばキリスト教の無いヨーロッパを考えられるでしょうか?それは不可能に近いでしょう。では,ヨーロッパで言うキリスト教に該当するものはアジアにあるでしょうか?たしかにあります。仏教にヒンドゥー教,イスラームに神道(シャーマニズム)更には儒教や墨子の思想...。インド哲学もここに該当するでしょう。しかし,どれも絶対的にはなり得ません・・・。
では結局,アジア的価値観とは何なのでしょうか?僕が思うに、それは「相容れる(共存する)」という価値観なのです。それを象徴するのが、実は日本なんです。伝統を守りつつ、外来の文化・伝統を受容していく...。様々な価値観を共存させていく...。それがまさしく日本の価値観であり、そしてこれこそが「アジア価値観の真髄」だと僕は考えています。ですからもし歩み寄ることが出来れば絶対に欧米を凌駕するほどのポテンシャルを発揮できるはずなのです。しかし,それにはもう少し時間がかかりそうですね,ハイ。 (余談ですが、最近,何かと世間で訴えられている「持続可能な開発」という考え方も、アジア生まれなんですよ。これと対照的なのが、欧米発の自然淘汰論ですね。)
4、人権や民主主義はヨーロッパ生まれ?
上で挙げた「アジア価値感」に因んで、ちょっと加味したい話があるんですね。よく「人権や民主主義という考えは、元来,アジアには無かった」なんて聞きません?あれって実は大ウソなんですよ。ちゃんとありましたよ,アジアにも。例えば孟子の易姓革命は、そのまま近代革命の思想に結び付きますし、墨子の「兼愛」は、キリストの「隣人愛」と一致します。バラモンの不正と戦った仏陀と、ユダヤ教の選民思想と戦ったイエス・キリストの、何が違うのでしょう? 要するに人権や民主主義がヨーロッパ固有のものだ,などというのは全くの濡れ衣なんですよ。
5、「アジア共同」の道は遠い
恐らく鳩山首相の掲げる「東アジア共同体」構想は、早かれ遅かれ頓挫することと思います。そもそも成立するはずがないんです。友愛の精神は確かに素晴しいと思います。しかし一国の代表として他国と向き合う以上,時には自国の利益や尊厳を守るために、ぶつかり合わねばならぬ時もあるのです。仲良く馴れ合うだけの外交を‘友好外交’だと思っているのなら、それは大きな誤りだと気付くべきです。(ってもまぁ,当の鳩山さんはこのブログを見てはいないのでしょうけどwww)
理想主義者の僕がこのように現実的な話をすることを不自然に感じている方も居るかもしれませんが、別に熱があるワケでも変なものを食べたワケでもありません。まぁ,要するにこれが本音なんですよ。それに鳩山首相の姿勢からは「信念」とか「誇り」みたいなのが感じられないんですよね。それが伴わない理想ほど脆いものは無いですからね...。
ってな感じで今日は失礼します,ジベリというコトで!
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