1、発送電分離とは?
現在日本では、発電と送電と小売を各地域の電力会社が一任する、いわゆる「垂直一貫体制」なるものが用いられています。ザックバランに言うと、それを切り離して発電と送電を別個の会社にやらせようというのが発送電分離ということになります。
しかしながら発送電分離は何も「脱原発」の観点から主張されるようになったものではありません。これを言い出したのは経済産業省の電力システム改革専門委員会というところです。経済産業省は最近になってやれ再生可能エネルギーだなどと喧伝し始めましたが、基本的には原発推進派が多数を占めるセクションであり、どうにもキナ臭い...。(それからこれは余談ですが、経産省のお偉いさんが原発メーカーの1つでもある日立に天下りしていたことは、あまり多くの人に知られていない模様ですね...。)
また付け加えるとすれば、そもそも論として送電事業というのは儲からないのです。あの
2、脱原発とは無関係な「発送電分離」
結論から言うとすれば、発送電分離と脱原発はそもそも関係ないものなのです。まず大前提として確認しておくべき事実は、発送電分離が進んでいるEU諸国にもアメリカにも原発はいまだ存在しているということです。そうなんです、原発はあるんです。たしかにドイツなど脱原発に舵を切っている国もありますが、たとえばフランスは現在も原発大国。あのフィンランドにも原発はあるのです。(まぁこの国の場合、発電所の敷地内に本社を構えるという気構えはあるようですがw)
つまり発送電分離を実現したところで、脱原発には何らつながらないのが現状なのです。ついでに言うと電力自由化もそうです。あたかもそれらを脱原発の必要条件のように喧伝する人が多いのですが、実際には何ら関係ない話だったのです。
それから付け加えるとすれば、発送電分離は東谷さんの記事(下記参照)にもある通り、電気料金の値上げなど多くのリスクを抱えています。その最大のものは安全管理が杜撰になりがちな点でしょう。先述したとおり、基本儲からない仕事ですので、企業が利益を上げようとコスト削減に踏み切れば安全管理は十分に成されない可能性が高いのです。停電が殆ど無いというのが我が国の電力事情の誇るべき点でもあるのですが、その「強み」も失われかねないのが現状です。消費者が電力会社を選べる点などはたしかに一見すると脱原発への布石になりそうな気がしないでもないのですが、少なくとも現在の理論上ではデメリットの方が多いというのが実情と言ったところでしょう。
専門外の分野につき、僕自身も書きながら資料をあちこちから引っ張り出して悪戦苦闘していたのですが、如何でしたでしょうかw?脱原発は我々日本人に叩きつけられた大きな課題です。しかし何事にも万能薬と言うものはありません。冷静な分析のもとに地道に進めていくしかないのです。そんなところでありますが、本日はこれにて失礼したいと思います,ジベリ!
―参考―
・脱原発の風潮のなかで発送電分離を一気に断行しようとしている(東谷暁)
http://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/154dfab885f23d753c52adff49ff59d2
・発送電分離じゃ原発はなくならないぞ! EUの発送電分離の対外的戦術を考える。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65848858.html
・飯田哲也氏のメガ・ミスリードその3 脱原発と発送電分離は無関係だ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-8f2d.html
・電力自由化で脱原発?
http://openblog.meblog.biz/article/4894807.html
・電力自由化と脱原発はワンセットではないはずだ
http://www.alter-magazine.jp/index.php?%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96%E3%81%A8%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AF%E5%88%A5%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B
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