・ポスティングされていたチラシ(一部書き換えておいてあげましたw)
昨年12月末にメディアで報じられたとおり、関西電力(関電)は今年4月からの値上げを国に申請しています。上の文書にもあるように、一昨年5月に値上げしたばかりなのに、またもやといった感じです。原因について関電は「原子力プラントの再稼働遅延」を挙げているのですが、全く我々もバカにされたものです。ちなみに値上げ幅は平均10.23%。一般家庭では月およそ744円の値上げになるほか、商店等では3273円の値上げになると言われており、またしても我々の生活は厳しくなるようです。
・火力発電所の稼動が増えたワケではない
これは以前にも載せたデータ(ちなみに東京電力のもの)なのですが、原発稼動時と今を比較すると、原子力による発電が抜けた分だけ火力発電が増えたのではないことが分かります。その分は各家庭や企業の節約によってカバーされているのです。ちなみにグラフに出てきた東電は2015年の電気料金値上げについて、「ひとまず原発再稼働がないとしても見送る」との方針を明らかにしています。(何でも原発なしでも増益でしたからね・・・)
・だからどうして原発にこだわるのですかw?
関電のサイトにはこのようなデータは挙がっていないようなのですが、大して変わりはないでしょう。とどのつまり、値上げの原因はインチキ金融工学に基づく円安に起因する燃料輸入コストの増加なのであり、原発が稼働できないことではないのです。それより気になるのは、原発を動かしていないという条件において同じはずの東電が増益だった一方で関電は4期連続の赤字という状況にあることです。原因はどうやらそもそもの原発への依存があったようです。東電の原発依存度が30%前後なのに対して関電は48%と半分近くの電力を原発に依存していたのです。3.11に伴う未曾有の事故を目の当たりにしても、こうした体質を改善しようという動きがないことに本当に呆れます。
・関西電力「2度目の値上げ申請」のウラの「無神経放漫経営」
http://blogos.com/article/104842/
しかも上の記事によると役員報酬は依然として高いままのようですし、そうした意味でも不誠実極まりありません。まぁこの記事にもある通りなんですが、自浄作用を失ってるんですよね。(まぁ尤もこれは日本社会全体がと言ったほうがいいことなのかもしれませんがw)とかく関西電力が今やるべきこと。それはまず第一に経営陣の綱紀粛正です。こんなデタラメを許していてはいけませんよ。
・直下に活断層? 敦賀原発(NHKオンライン)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/140160.html
そして2つ目には脱原発依存の道を示すことです。その第一歩として活断層の真上にある可能性の高い大飯原発と厚賀原発は廃炉にしましょう。
・ドキッ!丸ごと断層、断層だらけの敦賀原発(上記記事より)
原発に代わるものは幾らでもあります。高精度の火力発電所の開発もそうですし、小水力発電や太陽熱発電といった新エネルギーの活用も視野に入れましょう。そうした取り組み(※役員報酬削減等の企業努力も必須)をした上で、それでもというのであれば値上げもやむなしと思いましょう。しかし、今のままでは到底許容できません。
ところでこのことを、関西圏の地方紙はどう報じているのでしょうか?関西を代表する2つの地方紙を見てみたいと思います。「どうせ...」と思ったら、なかなかいいこと書いてるところもあるんですよ。まずは神戸新聞から見てみましょう。
・関電値上げ方針/原発停止を理由にするな(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201412/0007602497.shtml
とはいえ、原発が再稼働しなければ安定供給に支障が出かねないとする説明は、納得しがたい。東日本大震災の後、企業や消費者は節電に取り組み、電力需給の切迫が予測されていた今夏の需要期も無事に乗り切った。必要なのは、原発の再稼働を急ぐことではなく、コストを下げる努力だろう。国民の多くは、脱原発を望んでいる。そうした声を真摯(しんし)に受け止め、電源の多様化と効率化を図るのは大手電力の責務である。
円安や高いままの役員報酬に触れていない点は残念ですが、それでもなかなかこの記事は秀逸です。消費者が折角節電に勤しんでいるのに、何の努力もしないで原発ありきでやっていこうとする関西電力に我々は怒っているのです。それからこの部分もなかなか重大です。
6月(昨年)に改正電気事業法が成立した。16年には電力会社を自由に選べる小売りの完全自由化が実現する。大手電力の発電と送配電事業を分離する改革も数年後に見込まれる。大手が独占する家庭向けが自由化されれば、事業者間の競争が促され、電力の低料金化が進むだろう。電力改革を前に進めるには、事業の自由化が不可欠だ。ただ、逆行の動きも出てきた。経済産業省は、太陽光など再生可能エネルギーの大手電力による買い取りを抑制する見直しを検討している。
少し前にも言ったような気がするのですが、僕は現在でも電力自由化や発送電分離を積極的に批判的な立場です。(詳しくはこの記事を参照)しかしながら上記のような経産省の方針は許せないと同時に「やはりそうか...」と呆れているところでもあります。(だいたい元々原発推進派の経産省がスマートグリッドとか言ってるのが胡散臭くてしょうがなかったんですよw)で、次に京都新聞。12月9日の社説なのですが、こちらもなかなかいいこと言ってます。
・関電値上げ検討 原発に依存でいいのか(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20141209_5.html
関電は、想定より早く原発が動けば値下げをするという。当然の対応といえるが、自民党が衆院選の政権公約に原発再稼働を掲げていることを盾に、「電気代の安定には原発しかない」と消費者に迫っているようにも見える。世論調査などでは、国民の多くは脱原発を望んでいる。関電は再値上げを「一時的な措置」として理解を求めるようだが、それでは不十分だろう。将来的にどう原発依存度を下げていくのか、その道筋こそ示すべきだ。家庭用料金の値上げには国の認可が要る。審査では、経営効率化や生活への影響とともに、電力会社の原発依存に対する考え方にも厳しい目を向けてもらいたい。
正直京都新聞は、京都新聞に比べてこういう論調があまり強くないところだったように思ったのですが、この記事に関しては「やるな」と思いましたね。燃料費高騰の一因に円安があることこそ言及していませんが、「円安の影響などで経営が苦しい企業は少なくない」として昨今の不況の一因としての円安に触れているのは評価していいと思います。
電力会社が新聞社にとってお得意さんでもあるので、厳しいことが言えないのは分からないでもありません。しかし、新聞社が尽くすべき責務は真実の追及であり、真に誠意を持つべき相手は読者なんですよ。それを忘れていたら、そもそも新聞は読まれなくなってしまいます。まぁあんまり書くと、また内定を取り消される可能性もあるのですが、「それじゃあ...」といって黙っていられないのが僕の長所であり短所でもあるのでしょう。でもジャーナリスト名乗る以上は言わなきゃいけないんですよ。真実を伝えなくてはいけないんです。僕はそういう心づもりでやっていますよ。そんなところですが、本日はこれにて失礼致します,ジベリ!
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