2013年2月12日火曜日

アベノミクスがダメなこれだけの理由

最近はテレビを付ければ常にこの話題です。安倍新政権が進めようとする一連の経済政策の総称が「アベノミクス」ということなのですが、果たしてこれは成功するのでしょうか?ここではそれについて論じていきたいと思います。

1、アベノミクスとは?
アベノミクスとは安倍新政権が構想する一連の経済政策の総称であり、安倍とエコノミクスを足して造られた造語です。少し現代史を勉強している方はアメリカのレーガン政権が行った「レーガノミクス」なる経済政策をご存知かもしれませんが、言うまでもなくそのオマージュということになります。(因みにアベノミクスという名称は主に経済学者やマスメディアが用いてるものであり、安倍政権が自ら命名したというものではない模様です。)

2、問題点
アベノミクスには「3本の矢」と呼ばれるものがあります。それは主要な政策である財政出動と金融緩和と成長戦略です。3本の矢と言えば毛利元就が3人の息子に結束して毛利家の反映のために尽力することを諭した逸話なのですが、先述した3つの政策は、そもそも合わせる意味がよく分からないものです。この3つを実行しても何ら相乗効果を期待できないのが実のところなのです。

それを説明するためにまずはそれぞれの政策について考えていきましょう。まずは財政出動。デフレ脱却のためには「政府が率先して金を使え」と僕はこれまでに何度か言ってきましたが、これはその条件に当てはまります。どこに中身の精査はひとまず置いておくとして、方向性だけは少なくとも間違っていないことを確認するにとどめたいと思います。(それにしても不思議な話ですね。民主党のときは「カネがない」といっていた財務省がホレホレとお金を出すというのですからw)

次に金融緩和。「大胆な」という触れ込みからも分かるように、相当ドラスティックなものを自民党は想定しているようですが、果たしてこれは効果があるのでしょうか?ここで大きなアクターとなるのは日本銀行です。日銀が通貨の供給を増やすことでインフレを作り出そうというのです。そんなことが可能なのか?と思う方もいると思いますが、これ確かに出来るんです。

しかし、それで「インフレ傾向」になったとして我々の生活にはどのような影響が出るのでしょう?多くの人が第一に指摘するように、よしんばその小手先の金融政策で物価が上昇傾向に転化したとしても、給与が上がらない限りはあまり意味がありません。物価が上がったところで経済規模は縮小するスタグフレーションという最悪の帰結を招きかねないのです。(そしてこれは大多数の庶民の生活に大きな打撃を与えるでしょう。)しかもそこに電気代値上げと消費増税が重なるのですから消費はさらに冷え込むことが想定されます。そうなれば日本経済は死に体です。たしかに安倍さんは経済3団体に賃上げ要請をしてきたようですが、経団連を筆頭にそれを聞きいてるところが果たしてあるのかは疑問ですし、批判逃れのための口実作りとの見方は否定できません。(そもそも竹中平蔵をブレーンとしている時点で...ねw)

そして3つ目は成長戦略。経済成長を志向してのものだとは思うのですが、何をやるのかはよく分かりません。とりあえずカネを使うということであれば、それこそ自民党本来のバラマキ政策にしかなり得ません。成長分野をどこにするのか?それを定めなければ長期的な国家成長には結びつきません。尤も安倍政権には長期的な計画はおろか、中期的な見通しすらないのだとは思いますけどね。つまりこれは参院選に向けた実績アピールでしかないのです。そう考えるとアベノミクスはいとも簡単に理解出来てしまいます。


3、円安は絶対悪か?
安倍政権が日銀を介した金融政策によって招こうとしているもう一つのものが「円高」です。円安は輸入には有利で輸出には不便。皆さん学校でそう習ったことと思います。ゆえに「貿易立国である日本」には円高が有利...とみなさん考えているでしょう。何も間違ってはいません。しかしみなさんひとつ大きな間違いをしています。日本はもはや貿易立国ではないのです。輸出で利益を得ている人の方が少ないのです。また車を買う人が増えるなんて意見もありますが、それも甚だ怪しい話です。というのも燃料である石油が円高によって値上がりするワケですから。(そして繰り返すようですが消費増税も待ち構えています...)また円安によって輸出が増加する見込みも殆どないのが実情なのです。だって考えてみてください、企業の工場はこぞって海外に行ってしまったのですから。しかも日本のものつくりは停滞傾向にあります。この先時代を変えるような新商品の開発でもあれば多少はそうした傾向が変わる兆しにはなるでしょうが、会社が株主の顔色を伺って内部留保を溜め込んでいる現状では少なくとも難しいと言えるでしょう。

あと、いつだったか言ったような気がしたのですが昨今のドル安は、何も円高の所以というだけではありません。相対的に見て米ドルの需要が減少傾向にあり、その価値を弱めていることをわすれてはいけません。(ユーロにしてもそうですね。)


4、誰のための経済政策か?
果たしてアベノミクスは、誰のための経済政策なのでしょうか?先述したように、「円高」で儲かるのは事実上輸出業者のみであり、これは少数派のための‘政策’であると言わざるを得ません。もっとハッキリ言えば大企業のためのものでしかないのです。つまり自民党がこれまでやってきたいわゆる「大企業優遇」政策と何ら変わりはなく、そしてそれは新自由主義という失敗したメソッドに則ったものでしかないということです。尤もそうしたものは安倍晋三という人物のバックボーンを見ればより明白になります。彼は元々「上げ潮派」と呼ばれるグループと近しい関係にあり、つまるところ小泉・竹中流の構造改革路線のフォロワーなのです。ぶっちゃけアベノミクスは米国流のカジノ経済と何ら変わりはないものなのです。

今日は最終日ということで、あと2本の記事のアップをしなくてはならない計算になっているので一旦失礼しますが、またすぐに戻ってきますw

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