2013年2月12日火曜日

空知英秋の漫画革命

怒涛の「エッセイ10連発」も、これで終わりになります。最後のテーマはズバリ「銀魂」。空知英秋という漫画家が起こした‘革命’に触れつつ、この作品の魅力に迫っていきたいと思います。銀魂は空知英秋さん作のジャンプ漫画で、連載開始は2004年の2号。アニメは2006年よりテレ東で放送が始まりました。2010年春には初の劇場版として「新訳・紅桜篇」が上映。そのおよそ半年前に公開されたONE PIECEの劇場版「Strong Wordl」の4分の1の興行収入を上げました。(←凄みが伝わらないw)


・万事屋ファミリー(ネットの拾い物)

ゴリラ原作もとい空知英秋さんはこの漫画のジャンルを「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」といったように表現しているのですが、たしかにこの漫画の世界観は複雑であり、容易に理解することは難しいように思われます。とはいうものの、はっきり言ってそんなものどうでもいいんです。(アニメ版の神楽ちゃん曰く「設定気にした方が負け」)基本1~3話完結で、どこから読み始めてもだいたい流れが分かってしまうのがこの作品のいいところの一つですから。銀魂はジャンプの王道であるバトル漫画であると同時に極めて秀逸なギャグマンガでもあり、そうかと思えばシリアスな人情モノも出来てしまうという非常に器用な作品でもあります。ギャグとシリアスの落差を味わうのも、この漫画の楽しみ方の一つだと言えるでしょう。(ギャグはとことん下品なものから時事ネタ業界ネタまで幅広く、それをバカ丁寧に「アニメ化」してくれるスタッフの愛を我々はひしひしと感じていますw)

・坂田銀時と桂小太郎(「劇場版銀魂 新訳・紅桜篇」劇中より)


1、王道への挑戦
この漫画はある大きな‘革命’を成し遂げています。それはバトル漫画的な傾向を持ちながら「必殺技」のようなものが登場しないということです。従来であればジャンプ漫画において、キャラクターが技名を叫びながら攻撃するのは半ばお約束のようなものでした。孫悟空然りモンキー・D・ルフィ然り...です。しかし坂田銀時にも桂小太郎にも土方十四郎にも高杉晋助にも、そういう描写は一切されていません。(それがない事を時たま自虐的に取り扱ってはいますけどw)

勿論キャラクターが技名を言うものに意味のあるものもたしかにあります。漫画ではありませんが、たとえばハリーポッターがそうです。魔法を使うのに呪文を唱えるのは鉄則であり、逆にその手順なしに魔法を使える(因みに無言呪文という)のは、上級の魔法使いのみという設定もありました。しかし例えばドラゴンボールでは技名を言うことにあまり意味はありません。(事実、無言でかめはめ波を撃っているキャラも居たりしますw)先述したONE PIECEでも技名を言うことにあまり意味はなく、やはりこちらでも無言で能力を発動させるシーンが何度も描かれています。バンナムがゲームを作りやすいようにするためかどうかは別としても、つまるところジャンプ漫画の王道である「技名スタイル」に深い意味はないのです。

2、人間味のある登場人物たち
しかし銀魂の最大の魅力は格好良すぎない背伸びしない主人公、坂田銀時をはじめとする登場人物たちにあると言えるでしょう。子どもは分かりやすい主人公に憧れます。完全無欠なヒーローを夢見て自分もそうなりたいと願うものです。しかしそんなものにはなれるはずもなく、僕らは「普通の大人」になっていきます。殆ど全ての人が退屈なモブに成り下がっていくのです。坂田銀時という人物は、やる時はやる男なんですが基本はマダオです。まるでだめなオッサンに片足を突っ込んだいい年した大人なのです。かつての戦いで失ったもの、その悲しみを抱えながらも背筋を伸ばして真っ直ぐに生きている主人公に僕らは親近感を覚えるのです。万事屋の面々や真選組の面々、或いは銀時の旧友である桂小太郎。そしてかぶき町や吉原の愉快な面々...。その誰もが完璧じゃない。みんながいいやつでみんながバカ。ぶつかり合い、助け合いながら楽しくそして懸命に生きている。そんな姿に共感するんです。


・銀魂の登場人物たち(これも拾い物)

ひとつなぎの大秘宝も、何でも願いを叶えてくれる7つのボールもこの世界にはありません。あるのは些細な幸せくらいのものです。だけどそれでいいんです。それさえあれば何とか楽しくやってけるんです。銀魂はそんなことを思い出させてくれる作品です。そうした意味で銀魂は是非、大人にこそ読んで欲しい漫画なのであります。アニメも毎週木曜の18時から絶賛放送中ですのでそちらも観てもらえればと思います。そして...です。今年の夏には銀魂が再び映画館に帰ってきます。しかも次は空知先生のオリジナルストーリー...。これはもう見るしかありません。そんなところですが本日はこの辺で失礼します。次回からはまた通例の記事に戻りますが、これからもどんどん記事を上げていくので皆さんこれからも読んでください,ジベリだコノヤロー!

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