2013年10月7日月曜日

「1%」のための消費増税

先日安倍首相は大方の予想通り、来年度からの消費増税を発表しました。かくして消費税率は8%に引き上げられ、そして安倍政権が倒れない限りは更に2年後には10%に引き上げられることとなるのですが、果たしてこの度の消費増税、一体何のために行われるのでしょうか?今日はそのことについてお話していきたいと思います。

1、社会保障のためという嘘
案の定、安倍政権は消費増税を法人減税とのセットで持ってきました。国際比較で数字だけを見れば、日本の法人税は確かに高いのですが、そこにはあるカラクリが隠されているということについてはその昔、このブログでも取り上げたとおりなので、ここでは説明を省略しますが、とにかく我が国における企業の法人税負担というのは、あまり重くないというのが現状なのです。(これは大企業の場合、特に顕著だと言えるでしょう。いわゆるメガバンクに至っては本当に最近まで法人税を全く納めてこなかったのです。)




加えて大企業にとって消費増税は更にオイシイものとなります。その所以がいわゆる輸出戻し税と呼ばれるものにあります。これはそもそも、外国の付加価値税(消費税等)との二重取りを回避するために輸出品への消費税を免税する仕組みなのですが、具体的には仕入れの際に要した消費税を政府が還付する形になっています。この制度の問題店はどこなのかというと、そもそも‘輸出’する企業が必ずしも仕入れをしているとは限らないという点です。つまるところ多くの場合は実際に税金を支払っている下請けの企業には免税の効果が行き届いていないのです。この辺は大企業と中小企業の力関係が複雑に絡み合っている根深い問題であると言えるでしょう。ただ何れにせよ、この制度は現状として大企業に有利なものであり、そうして点を踏まえると経団連が消費増税に積極的なのも頷けるでしょう。


2、アメリカのためと言われても不思議はない
こちらのページを御覧下さい。日本政府は今年7月頃、つまり参院選の前後に5.2兆円もの額の米国債を購入しているのです。為替介入を目的としたものではなく、その目的は定かではありませんが、1つ言えるのは、これが全く日本の国益にはそぐわないということであり、政府はまたしても体よくアメリカに貢いだだけに過ぎないということです。(それだけのお金を回収していながら破産寸前のアメリカはおそらくもうどうしようもないのでしょう...)「アメリカのATMにはならない」、自民党にもかつてそう断言した人がいました。2009年に急死した中川昭一さんです。しかしその思いを無下にするようなことを現政権はしています。

麻生さん、もしあなたにまだ良心があるのなら、安倍晋三を止めてください。じゃなきゃ「友達」を失いますよ!

(余談ですが、お葬式で誰よりも泣いていたのは我らが亀井静香先生だったといいます。棺の前でずっと話しかけていたとか...。鈴木宗男さんもたしかインタビューのとき泣いてましたね。別々の場所にいても、あの人たちは同じものを守るために、同じ「何か」と戦っていたんでしょう。)


3、そもそも日本の消費税は安いのか?
ここでもう一つ、そもそもの話を考えてみましょう。我が国の消費税は本当に高いのでしょうか?確かに税率だけ見ればそう見えなくもありません。しかし、少し違った視点で見てみると、一概にそう言えないことが分かります。ちょっとこの画像を見てください。



脚注にもある通り、これは2003年(つまり10年前)のデータなのですが、この2つのグラフを読み解くと、面白いことがわかります。成程標準税率で見ると、やはり日本の消費税は「安い」ということになるのですが、国税収入に占める割合としてみてみると、現時点でかなり「高い」ことになってしまうのです。それには2つの要因があります。1つはヨーロッパ諸国では税金の重みが累進課税に置かれていること。そしてもう1つは巷でにわかに話題になりつつある軽減税率が導入されているということ。この制度は国によってまちまちなのですが、食料品(※かなり細かい規定あり)や新聞・雑誌などは非課税(ないしゼロ税率)、或いは低い税率になっているのが一般的です。




ただ何れにせよ、こうした「カラクリ」を知らないままに、政府・マスコミの垂れ流す「日本の消費税は国際的に見て安い」というロジックに踊らされていてはいけないということです。分かっていただけたでしょうか?

※補足:上のデータは2003年のものなのですが、では現在はどうなっているのかというと、平成24年度4月の時点で予算に占める消費税の割合は38.4%。つまりおよそ10年の間に10%以上高くなっていることになります。

4、まとめ
要するに此度の消費増税は、社会保障の拡充やセーフティーネットの確立のために行われるようなものではなく、ただ単に富裕層をより豊かにするためのものなのです。しかも特別会計の見直しも不十分であり、いわゆる思いやり予算など国益に反する出費も続く中での「増税」です。こんなものに賛成することはできません。




だいたい...ですよ。何度も言うようですがこの国の中心は内需です。消費増税はそれを更に冷え込ませることになるのです。そうなれば「デフレ脱却」なんて夢のまた夢のまた夢の中で見る夢物語に終わります。景気回復を目指すと言いながら不況を招く政策を行う。「戦後レジームからの脱却」と言いながら対米従属を更に強める...。安倍政権のやっていることは全く支離滅裂です。安倍首相は夢遊病者にでもなってしまったのでしょうか...。とにかく1日も早くあの‘詐欺政権’には退陣して頂き、次こそ自立と共生を旨とする国民連合政権を現実のものとしましょう!それでは本日はこの辺で失礼します,ジベリ!


~参考文献~
・三橋貴明の「日本経済」の真実がよく分かる本(PHP研究所:2012年出版)
・消費税を考える重要情報(日本共産党)
http://www.jcp.or.jp/tokusyu-10/08-syouhizei/
・消費税と「輸出戻し税」(るいネット)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=166366
消費税10%なら大企業は6兆円のボロ儲け(阿修羅掲示板)
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/576.html
・驚愕!すでに日本の消費税は世界第2位になっていた!(るいネット)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=265994
日本の消費税は「ヨーロッパ」よりも遥かに安いキリッと思っている人に見てほしい
http://d.hatena.ne.jp/maachang/touch/20131004/1380856120
・主要国の付加価値税の概要(財務省)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm

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