2013年10月15日火曜日

映画レビュー3連発その①:ナインソウルズ

タイトルの通り、これから3回に分けて映画レビューを久々にしたいと思います。ちなみにあとの2本は劇場に足を運んだ「劇場版銀魂完結篇・万事屋よ、永遠なれ」と、「アレ勃ちぬ」「風立ちぬ」。この夏日本中を熱くした2つのアニメ映画です。



一方、第一弾の「ナインソウルズ」はというと、公開は2003年。つまり10年前の映画ということになります。まぁ最近レンタルして見たんですよね。監督は「青い春」や「ポルノスター」で知られる鬼才、豊田利晃さんで主演は今は亡き原田芳雄さん。松田龍平さんや千原ジュニア(当時の表記は千原浩史)さん、板尾創路さんといった味のある役者が脇を固めます。



9人の脱獄囚の「その後」を主軸とするこの映画は、dipの演奏を背景に、予告編の冒頭にもある東京の空撮から始まります。それでビルも皇居の森林も消え失せていくんだけど、なぜか東京タワーだけは残る...という不気味な演出。これは金子未散(松田龍平)の心情を反映したものなのでしょうが、これがなかなか印象的であり心に焼き付きます。その後、未散が収監されるシーンを挟んで場面はものの10分程度で「脱走」へ。ここでもまたdipの演奏がシーンを際立たせます。疾走感のあるBGMを背景に荒涼とした道のりを疾走する9人の脱獄囚。颯爽と脱獄に成功した9人は‘あるもの’を探す旅に出掛けて行きます。その後、各々の目的の場所へと向かう彼らですが、待ち受けているのは厳しい現実。再び逮捕される人、恨みから殺されてしまう人...。結局帰ることができる場所なんて殆ど誰にもなかったのでした。

・金子未散役の松田龍平さん(劇中より)

この映画は賛否両論のようなんですが、まぁそれも無理のない話なのかもしれません。そもそも9人という主要人物の多さが問題なのかもしれません。それゆえにキャラの背景とか、どういう経緯で犯罪を犯すに至ったのかという描写も殆どなし。なので感情移入のしようが無いんですよね。結末も金子未散の夢オチなのか何なのか結局よく分からないままと、終始おいてけぼり感が否めないのが実のところです。ただ、昔の日活映画ってこういう構成の作品多かったんですよね。何というか「何となく」で物語が進行していくような一種の不条理。それをアートと取るか駄作と取るか...ってことですね。僕は嫌いじゃないですよ、こういう映画。不条理なんだけど、その中にメッセージがあって「笑い」があって...みたいなの。

・ナインソウルズ : 豊田監督&松田龍平インタビュー(2012年7月30日)

公開から9年を迎えた昨年は、各地で再上映もされたようで、再度話題を集めたこの映画ですが、まだ観ていない方は是非、一度見てみることをお薦めします。秋の夜長に丁度いい1本だと思いますので...。そんなところでありますが、本日はこれにて失礼致します,ジベリ!

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