2014年6月27日金曜日

新聞と軽減税率




先日の京都新聞社の筆記試験の作文のテーマがまさにこれだったのですが、まぁちょっとこれについて今やってる連載の延長上ということで今日は書きたいと思います。(主張自体は作文で書いたことを踏襲しますが、ところどころ補足を加えた形のものになると思われます。)

1、軽減税率とは?
高い消費税(国外では付加課税と呼ぶのが一般的)を課している国の中には、生活必需品などに対してこの軽減税率なる制度を設けている国が多く見受けられます。どこまでを必需品と考え、どこからを嗜好品と考えるかは本当にかなり細かく、たとえばイギリスではシンプルなビスケットには軽減税率が適用されるのですが、チョコレートのかかっているビスケットには適用されないといったようなユニークな措置を設けていたりもします。下は財務省のまとめたデータなのですが、ご覧のとおりヨーロッパの国々では軽減税率や非課税分野、国によってはゼロ税率を設けているのが実情です。



あ、ちなみに非課税とゼロ税率はどう違うのかというと、ぶっちゃけ消費者にとってはどっちでも変わりないんですよね。ただ販売者にとってはそうではありません。とどのつまり販売者の立場では非課税の場合は商品の仕入れの際に消費税の負担が生じるのですが、ゼロ税率の場合は仕入れに係る消費税の負担が生じないのですね。具体的に言うと税務署から仕入れ時にかかった負担分の還付が受け取れるのです。(詳しくはこちらなんかをご覧下さい。)では次に、軽減税率に対する世論がどうなっているのかを見たいと思います。

えらぼーと:都知事選 軽減税率 77%が「導入すべきだ」(2014年1月30日)
http://mainichi.jp/feature/news/20140130mog00m010003000c.html



このように、多くの人が軽減税率の導入をすべきだと思っていることが伺えます。しかも特筆すべきは消費増税に賛成している政党の支持者ですら、半数以上が導入に賛成しているのです。これは暗に消費増税による負担を憂いていることの裏返しだと僕は推測します。消費増税を「しょうがない」と思っている人ですら、どうにかその負担を軽減してもらえないかと心の中では願っているのでしょう。昔、仁徳天皇は家々のかまどから煙が上がっていないのを見て、「民が苦しい生活をしているのならば...」と免税の措置を取りました。今はどうでしょう?苦しい生活を強いられる庶民を顧みず更なる負担増を考えているではないですか。これを苛政と言わずして何と言うのでしょう...。

2、新聞に適用される理由
上の財務省のデータからも分かるように新聞や図書も多くの国では軽減税率の対象とされています。リンクが切れているため、「社説にツッCOM」というサイトからの抜粋になりますが、このように新聞社は新聞に対する軽減税率の導入に対する意義を訴えているとともに、日本新聞協会は適用を促す意見書を発表しています。

軽減税率 活字文化を高めるために(2013年9月6日:新潟日報社説)
http://3coco.org/a/modules/d3pipes_2/?page=clipping&clipping_id=22976

成程新聞は公共性の高いものであり、国民の「知る権利」を保障する大切なツールであると言えますし、個人的にもその導入に賛成します。しかし、新聞社がそれを導入することを声高に主張する正当性はどこまであるのでしょうか?前々から言っているように僕は消費増税自体に反対です。その理由は多々あるのですが、ここではその主たる3つを挙げておきたいと思います。

まず1つ目には消費税というのが非常に逆進性の強い税制であり、貧しい人にほどその負担が大きくなるものであるということがあります。そして2つ目はデフレ時にやるべきではないということ。たしかに金融工学により物価は上昇しましたが、あくまでそれは数字上のまやかしに過ぎず、実体経済が良好になったワケではないのです。たしかアベノミクスってデフレ脱却が1つの多くな目標でしたよね?どうしてそれに逆行するようなことをするのでしょう。これを見ただけでもアベノミクスがダメノミクスでありアベコベノミクスであるということが分かると思います。そして3つ目は我が国の財政事情。政府は「お金がない」と言いますが、特別会計に大きなメスは入れましたか?或いは米国への思いやり予算はどうですか?全然見直しなんて出来てないではないですか。そうした状況の下で消費増税と言われてもどうして納得なんて出来るでしょうか。いや、できないのです。(その他詳しくはこちらの記事をご覧下さい)

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ですが多くの新聞(とりわけ顕著なのは全国紙ですが...)は、こうした視点から消費増税を批判することはなく、庶民の暮らしが悪化することや消費増税の持つそもそもの逆進性に触れることもありませんでした。ただひたすらに政府の「ザイセイガー」を踏襲していたのみなのです。読売新聞に至っては消費増税を歓迎する記事の中で白々しくもこの軽減税率の導入を訴えていた始末なのですからもう笑ってしまいます。繰り返すようですが、僕は新聞に軽減税率を適用することには賛成です。しかしながら、現状多くの新聞社の姿勢は褒められてものではありません。今のままでは軽減税率の可否にかかわらず新聞は見捨てられるでしょう。問われているのは新聞社の、そしてマスメディアのあり方なのです。そんなところでありますが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

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