2013年11月4日月曜日

映画レビュー3連発その②:風立ちぬ

「連発」とは名ばかりで、およそ1ヶ月越しとなってしまったのですが、今日は映画レビュー第2弾となるこちらをお送りしたいと思います。宮崎駿監督作品の「風立ちぬ」。この夏一番の大作であることは間違いないのですが、その後の宮崎駿さんの監督引退発言なども含めると、今年一番の話題作と言えるかもしれません。では、そうした「背景」を考えず、フェアな視点でこの映画を評価するとすれば、どうでしょうか?

・映画ポスター

一言でこの映画を言い表すとすれば、「粋」だと思います。主人公やヒロインは元より、登場人物がみんなとにかく粋なんです。カッコイイじゃなくて粋。それからこの映画を戦争賛美だなんていう人はおそらくちゃんとこの映画を観てない人。なんとなくストーリーの大筋だけで騒ぎ立てているに騒ぎ立ててるに過ぎないと見ていいでしょう。

・堀越二郎が設計した零戦もとい零式艦上戦闘機52型(靖国神社遊就館にて)

もう1つ批判的に言われているのがタバコの描写。なんかもう禁煙ファシズムはそこまで来たかと言いたくなります。近い時代であるとは言え、この作品はいわゆる歴史モノ。当時の風景を描写しているに過ぎないカットをとやかく言うのはナンセンスだということです。たしかに現実的に考えたら、本人の希望であるとは言え、仮にも結核患者の横でタバコを吸うのはどうなのか?とは思いますけど、そこは一種のファンタジーとして楽しみましょうよ。

・宮さん曰く...(「王様のブランチ」にて)

それからもう1つ、この映画の特色は「大人の映画」だということです。まぁこれまでの作品も、たとえば僕が一番好きなジブリ作品である「紅の豚」なんかは確実に大人をターゲットにしたものだったように思うのですが、殊にラブシーンの描写という意味では「ホントにこれは宮崎映画なのか」と思ってしまうくらいの踏み込みっぷりで、家族で見るのはちょっと気まずいんじゃないかと思うほどw

・宮さん曰くその②

あと、やはり宮崎駿監督が今、あの激動の時代を舞台とした映画をつくろうと思った背景には、今またこの国が「あの時代」へと進みつつあるという思いがあったようです。そうした危機感から反戦映画を作る人は多いと思うのですが、そうではなくて、戦争はあくまで背景の1つとして捉えて、その時代を懸命に生きた人々の姿を主軸に描くというのは何とも宮崎駿という人物らしいように僕は思いますよ。

・宮さん曰くその③

それから敢えて言うほどのことでもないんですけど、作中の堀越二郎は史実に堀辰雄さんの小説「風立ちぬ」の主人公などのキャラクターを足して作ったものであり、実際の堀越二郎とは必ずしも同一ではありません。(ただ、飛行機に全身全霊を懸けていた人だったのは事実のようです。参考までにこちらを:家族が語る“零戦の設計者”堀越二郎の素顔



これまで幾度となく「ラスト」と銘打ってはその後新たな作品を発表してきた宮崎駿監督ですが今年9月に遂に引退を表明。まぁ気まぐれな方ですから、また気が向いたら新しい映画を引っ下げて戻ってくるなんてことも考えられますが、何か1つの「時代」が移り変わるときが来ているのかな?なんてこともボンヤリと感じ、個人的には少し寂しい気持ちです。ともあれ「風立ちぬ」は間違いなく名作だと思いますので、映画館に観に行かなかったという人には是非またDVD化されてからでもいいので観てください。そして監督にはとりあえず「お疲れ様。」と伝えたいと思います。そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

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