2013年12月11日水曜日

魅惑の清朝陶磁

・趣ある博物館の西門と噴水(左後方には京都タワーも見える)

ということで、およそ3ヶ月ぶりの京都国立博物館です。今回の展示は「魅惑の清朝陶磁」なるものであり、その名の通り多くの陶磁器が集められています。今でこそ「中国製」といえば安かろう悪かろうの代名詞ですが、そもそもメイドインチャイナは高価で高品質だったんだよなということを思い出させてくれる展示会でした。家を出るのが遅かったので、七条に着いたのはもう夕方前。郵便局に用があったので戯れに七条界隈をふらついてみることに。

・馬町商店街

写真は渋谷(しぶたに)通りにある馬町商店街というところの一角。別段何かあるところというワケではないんですが、何か雰囲気が気に入ったので写真撮ってきました。因みにここ馬町は、先の大戦で空襲を受けた京都の中では珍しい市街地の1つ(※京都市街地を標的とした空襲は全5回)でもあるそうな...。余談ですが京都が空襲の標的からその後外されたのは、文化財の被害への懸念ではなく原爆投下の候補地に選定されていたからに過ぎないんですね。ではなぜ「文化財保護」という通説が根強く残っているのかというと、まぁぶっちゃけGHQの占領政策の一環としてのプロパガンダなんですね。(参考までにこちらをどうぞ...)

・なかなか風情のある境内です

その後、博物館へと戻る道すがらに立ち寄ったのが妙法院というところ。これまでも何度も前を通っていたはずなんですが、別段何もないのだろうと思っていつも通り過ぎていたようです。ふと目に飛び込んだ紅葉が気になって今回初めて訪れたのですが、実はここってかなり歴史のある場所なんですね。

・晩秋の空と妙法院(写真は大玄関)

起源となっているのは比叡山上の小さな寺院だったようですが、それが現在の「妙法院」として日本師に登場するのはゴッシーもとい後白河法皇の時代。いわゆる「院政」の舞台となったのがここだったのです。比叡山にゆかりがあることから初代の門主は最澄とされており、後白河法皇は15代の門主に当たるのだとか。(法名は行真)そして18代の頃にはいわゆる門跡(後半で解説)としての地位を確立。以後、大部分の歴代門主が法親王(皇族で出家後に親王宣下を受けたもの)というハイパーセレブな格式高い寺院として君臨しているのでありました。


・こちらが本堂

ただ現在の場所にここが移転した時期というのは明確には分かっていないのだとか...。とはいうものの、たとえば国宝にも指定されてる庫裡(寺院の僧侶のための食堂のようなところ)については豊臣秀吉の時代にはあったようなので少なくとも16世紀の末には現在の場所にあったのではと推測されます。また幕末には、ある事件の舞台にもなりました。時は文久3年(1863年)の8月19日、その先日のクーデター(いわゆる8月18日の政変)で京都を追放される身となった三条実美をはじめとする7人の尊皇攘夷派の公家は、長州藩兵に付き添われてここ妙法院に結集します。そうして「時」が来れば再び京都に舞い戻ることを誓い、彼らは長州つまりは山口へと亡命を図ったのです。この事件を世に七卿落ちと言います

・皆さんも是非、妙法院を訪れてください

しばらく境内を散策したあと、本当は久々にレストラン里に行く予定だったのですが、どうやら水曜定休になったとのことで敢え無く断念。本来の目的地である国立博物館へと急ぎます。ちなみにここでちょっと解説。上の写真に「門跡」ってあると思うのですが、これは一体何を指すのでしょうか?まず何と読むかというと、あれで「もんぜき(‘もんせき’とも)」と読むのです。これは別段今の門がその後作り直されたレプリカであるということではなく、皇族ないし貴族が住職を務めていた寺院を指す呼称なのですね。京都をはじめ各地に数多くあるこの門跡ですが、ここは青蓮院と三千院とともに「天台三門跡」に数えられる名門中の名門なのだとか...。ちなみにここから程近くにある三十三間堂も、実はここの所管する仏堂なんですよ。(そういや平清盛が後白河法皇に献上したんでしたね...)



そしてなんやかんやで博物館に到着。2008年に解体され、その後建て替えが進んでいた平常展示施設(名称は平成知新館)も気付けば完成間近。オープンは来年の9月とのことですが、この通り外見上は殆ど完成してると言っても過言ではない状態に。(時の流れを痛烈に感じますw)

・帰る頃にはもう真っ暗

今回の展示は冒頭でも言ったように、多くの陶磁器が集められているイベントであるため、その価値が分からなかったり、歴史的な背景に興味がなかったりすると来ても面白くないのかな?なんて気もします。とはいうものの、なかなかこれだけ価値のある陶磁器が一堂に拝めることも少ないと思うので、少しでも興味のある方は是非行ってみることをお薦めします。(開催は今週末の15日迄とのコト)

・景徳鎮産のお猪口(これは1つ500円也)

それからお土産のコーナーでは中国景徳鎮で作られた陶磁器を購入することもできます。僕も折角の機会ということで写真のようなお猪口を2つ買ってきたのですが、これで近いうちに紹興酒でも飲みたいものです。(いい器はお酒や料理を一層美味しくしますからね^^)そんなところですが本日はこれにて失礼します、ジベリ!

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