タイトルを見てもらえば分かると思うのですが、とりあえず僕はTPP参加には大反対という立場です。とはいえ巷の人々は未だ殆どその実態を理解していないんですね。だから僕はこの連載をやることで、皆さんの意識を変えたいなと思う次第なのであります。 第二回である今日は、TPP参加によって何がもたらされるか?そもそも日本の‘関税’はどうなっているのか?というお話をしたいと思います。
-----------------------------------
1、TPP参加=農村壊滅
前回の後半に言ったように、これに参加することは相対的に見ると日本の国益上,プラスにならないのです。第一に、巷で話題になっているように農業に大きなダメージをもたらします。
・TPP参加が農業分野にもたらすデメリットまとめ(しんぶん赤旗より)
お米をはじめとする農業製品の多くは、「関税」というもので実質守られているところがあるワケですが、これが無くなると農家は甚大なダメージを受けることになります。実際,農林水産省の試算では、そうした結果,日本の食料自給率は現在の40%から14%にまで激減すると云われています。その他,農業の衰退によって農業やその他関連産業の雇用が340万人失われるとの概算もされています。農業への打撃は殆どそのまま農村部の経済崩壊を意味します。 また、農業には荒れ地を作らないという環境保全的な機能もあるのですが、必然的にそれも失われるでしょう。
2、そもそも日本の農作物の関税は安い!
よく日本の農作物に掛かっている関税は「高い」とばかり言われているのですが、実際のところどうなのでしょうか?たしかに一部の商品には多大な関税が掛ってますよ。たとえば先述したお米には778%の関税が掛っていますし、それ以外でもこんにゃくいもには1706%の、或いは砂糖には305%,バターには360%の高関税が掛けられています。しかし,これらは一部的なものに過ぎないんです。全体で見るとどうでしょう?次のデータを見ると、面白いことが分かります。
・農産物平均関税率の国際比較(2000年時のデータ)
そうなんです!実際にはEUよりも低いんですよ。その他のものにはお米のようにミニマムアクセス(最低限輸入義務)も設けられていないため、ほとんど無制限に外国のものが入ってくることになります。そこに「食の安全」という視点はなく、結果として農薬入りの野菜などの人体に悪影響を及ぼす食品が時たま入ってきてしまうというワケなのです(・・;)
3、多面的なデメリット
メディアは農業のことばかり言ってますが、前回言ったようにTPPは例外品目なしの100%自由化を目指す貿易協定なのです。つまり、農業以外の分野にも多大な影響を及ぼすのです。例えば労働市場ではどうでしょうか?ただでさえ雇用状況が改善されていない日本にTPPによる‘開放’は、甚大なダメージを与えかねません。 医療分野でも更なる市場原理化が加速されることが予測されます。アメリカの意向で導入された混合診断(自由診療と保険診療の併用)も全面解禁される可能性がありますし、何より労働市場の開放による給与引き下げは、更なる医師不足ないし偏在を加速しかねません。そうした医療の市場原理化は、結果として国民皆保険制度を崩壊させる危険性すら孕んでいるのです。
また公共事業やPFIなどの政府調達もその範疇に含まれるため、例えば東北における復興事業などもアメリカの企業に落札される可能性があります。そうなれば被災地における雇用は回復しませんし、そこで生じた利益が地元に還元されることも無くなってしまいます。 実際アメリカ政府の通商代表部は昨年,「外国貿易障壁報告書」で日本に対して政府調達のさらなる開放を要求しているのです。トモダチ作戦に気を良くして油断していてはいけません。バカを見るのは日本ですよ!
その他、折角,亀井先生らの尽力で首の皮一枚でアメリカの毒牙を免れた郵政株も再度危険に晒されることとなります。ヘッジファンド(いわゆるハゲタカ)の投資行動も規制できなくなる恐れがありますし、その他にも危険性の話をすれば枚挙に暇がないのです。これがTPPの実態です!
3、工業製品分野でも大してメリットはない
では経団連が言ってるように、これに参加すると工業製品の輸出は拡大するのでしょうか?殆どしないと思います。そもそもブルネイやペルーで日本の車や電化製品が大量に売れるようなことがあるでしょうか?国民所得などの面から見て恐らくないでしょう。多くの人はアメリカでのマーケティングのことを言っているのだと思いますが、僕としてはそれも怪しいという風に思ってます。なぜなら現在,例えばアメリカで売られているトヨタの車は、アメリカの工場で作られているんです。これはホンダや日産にも同じことが言えます。電化製品についてはソニーやパナソニックも同じ状況にあります。つまり、現状でも関税は掛かっていないんです。なので、実はTPPに参加しても大して工業製品の輸出は拡大しないんです。一体,財界は何を血迷っているのでしょうね。あの人たちは実際,国のためにも企業のためにも何ら働いていないんじゃないでしょうか?
・次回がラスト
次回がいよいよ連載の最後となるワケですが、TPPに関する総論的なところはこれで終わりになります。では次は何を書くかといいますと、この背景に第三国の思惑がある,ということについてです。つまりTPP推進の背景にある‘とある国の戦略’を読み解こうというワケです。実はここがいちばん言いたいところだったりするので、皆さんお楽しみに。それでは今日はこの辺で,ジベリ!
0 件のコメント:
コメントを投稿