2011年10月3日月曜日

飛翔する日本

中川昭一さんがお亡くなりになってから今日で2年が経ちますが、今日はその中川先生が生前に残した著書の一つである「飛翔する日本」のレビューを書きたいと思います。


・本の表紙はこんな感じ(帯付き)


この本は2008年の夏頃,丁度福田内閣から麻生内閣へと移っていく頃に書かれたものであり、この著には中川先生の国に対する思いや、彼が抱いていた国家ビジョンが凝縮されています。テーマは経済や外交,教育に環境と様々であり、勉強熱心な政治家として知られた先生の片鱗を伺うことが出来ます。また彼の描いていたビジョンには具体性があり、やはりこういう人物がトップに立つべきだと強く思いました。

その他,中川先生は、これから政治家を目指す人に対して、こんな一言を送っています「政治家には何かれでも成れる。大切なのは、成ってから何をするかだ」と。この言葉が耳に痛い政治家が、実はたくさん居るのではないでしょうか?彼はご存知のように父親である中川一郎の遺志を引き継いで政治家になったいわゆる‘2世議員’ではあるのですが、少なくとも先生は生半可な気持ちでこの世界に入ったのではないと思います。僕自身,世襲議員にはあまり好意的ではないのですが、先生のような人物も居るので、一概に害毒だとは言えないなと改めて思いました。そもそも本当にダメな奴だったら、有権者がそいつに投票しなければ済む話なのですから...。

・賛成する点
国防や経済に関する話しには大方賛成です。核保有についての「核保有のバランスを一度取ってから同時廃絶に持ち込む」というプロセスについては、賛成派しませんが、そういう議論はあってもいいのかな?とは思ったりしました。

・異を唱えたいところ
彼は教育改革について、現在の6・6・3制を6・6制(中高一貫)に改めるとしてましたが、僕としては寧ろ9・3制(小中一貫)の方が義務教育との絡みで考えると望ましいように思えます。実際,多くの人が躓くのは中学校から高校への繋ぎの時期ではなく、小学校から中学校の繋ぎの時期だと思うので、ここを一貫にしてしまえば、その障壁を解消できると思うからです。もしも先生が存命であれば、この辺は一度議論してみたかったところです。また、別の項では原発マーケットで日本が躍進する,と述べていたのですが、周知の通りの有様で、なんと原発の安全管理をしていたのは日本の会社ではなくイスラエルの企業だったという真相までわかってしまった昨今ですから、流石にここは痛いかもしれません。その他,先生は「真の改革は保守にしか出来ない」と言っているのですが、これもちょっと言い過ぎかなと思うところです。(勿論,彼の言わんとしているところは分るのですが...。)

ーあとがきー
3.11という未曽有の災害は、今となっては‘異例の人災’とでも言えるようなものになってしまいました。このような国難に際し、「もしも中川昭一が居てくれたら...。」と考えたのは恐らく僕だけではないでしょう。しかし,何が一番悲しいかとしうと、これだけ惜しい人を亡くしたにもかかわらず、多くの国民が彼に抱いているイメージが、あの酩酊会見のみだということです。勿論,それはメディアの影響なのですが、いい加減に目を覚ましてほしいものです。マスコミは一体誰の利益のために動いているのか、或いは司法(とりわけ検察)は誰の意向で動いているのか...。それで誰が得をするのか冷静に考えれば、自ずとその答えは見えてくるものと思います。

国士・中川昭一はもうこの世には居ません。しかし彼の意思をここで終わらせてはいけませんし、増してや日本はまだ終わってなんかいません。先生に安心して眠って貰うためにも、残された我々がこの国を再び‘飛翔’させねば...。それが恐らく一番の報いになるのではないかと考えています。

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