2014年9月24日水曜日

沖縄論④:民主党沖縄ビジョンと「基地のない沖縄」

ということで今日は前回説明した通り、民主党沖縄ビジョンと日米がひた隠しにする米軍基地の再編計画を主題として話を進めていきます。


1、歪曲された民主党の「沖縄ビジョン」
政権交代直前の2008年頃、僕も批判的に扱っていたこの民主党の沖縄ビジョンなのですが、今回1つ目のテーマはこの「沖縄ビジョン」を色眼鏡なしでもう一度読んでみようということなのです。

・沖縄ビジョン(民主党HP)

そもそもこれが作られたのは2002年8月末。当時の代表はその後首相にもなった鳩山由紀夫その人でした。これは民主党が考える沖縄に対する基本理念とそれを実行するための具体的政策群の1つの集大成とも言うべきものであり、そのベースとなる「民主党沖縄政策」はその2年前1999年の段階で存在していました。冒頭にはこうあります。


沖縄では、先の大戦で唯一の地上戦が繰り広げられ、数多くの尊い人命が失われたばかりか、その後は、米軍の占領下に置かれ、日本本土から引き離された。さらに、1972年の復帰以降も、在日駐留米軍の基地面積の75%が集中する状況が続いている。このような沖縄の歴史と現状をしっかりと踏まえなければならない。

しかし、「沖縄」を考える視点は、こうした「負の精算」にとどまるべきではない。グローバル化が進む今日、東アジアの中心に位置する沖縄の地理的特性等は、その重要性を高めている。中国本土、朝鮮半島や台湾等に近い沖縄は、これらの地域と貿易や文化を通じた深いつながりを歴史的に持ってきた。沖縄は自然、文化、観光、教育や安全保障面等でこの地域の核となりうる「力」を十分持っているのであり、アジア、そして世界への日本の貢献を実現するモデル地域として、沖縄を活用することができると考える。(1、「沖縄を考える」より)

私たちはこうした視点から、以下の通り「民主党沖縄ビジョン」をまとめた。


大まかな内容は1つには沖縄に大きな自治裁量を認めることであり、2つ目には米軍基地の縮小を進めていくということ、そして3つ目には環境保全に取り組んでいくというものであると言えます。

特に自治に関しては一国二制度(中華人民共和国に対しての香港、マカオを考えて貰うと相違なし)の導入にまで言及しており、これは親中的な民主党の面々と相まって一部の人々から「民主党は沖縄を中国に明け渡そうとしている」と誤解されることとなりました。ともあれ勿論実際はそうではありませんし、おそらく「沖縄ビジョンの正体」なんて言ってる人の多くは全文に目を通したことは無いのではないかと思います。とにもかくにも一国二制度について書かれた部分をこちらに転写してみましょう。

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3.ビジョンに向けて、分権のさきがけとしての「一国二制度」

 ビジョンを実現するにあたっては、まず「中央政府による全国一律の規定・基準を見直し、沖縄のことは沖縄の住民自らが決める」という分権の手法が不可欠である。「地域のことは地域で決める」という分権は、民主党の基本理念のひとつであり、国家の権限を最小限にし、外交・安全保障等を除き、決定権を地域に委ねていくことを主張している。とくに沖縄は、他県と陸続きの県境を有していないことをはじめ、文化、環境、基地等、様々な面でその特性が明確であり、大幅な地方分権を全国に広げていくパイロット・ケースとして適した地である。民主党は、「一国二制度」の大胆な発想・手法で、沖縄の自立・独立を推進していく。

 例えば、自主財源を確保させ、沖縄に財政運営を任せていくことを提案する。平成12年度の沖縄県の国税納付額が2736億円、一方、沖縄県(市町村を含む)に支払われた地方交付税と国庫支出金の合計は7450億円である。国からの支出を、全額使途を限定しない一括交付金として、財政上の主体性を確立させることが重要である。さらには、負担と受益の関係を明確化する観点から、国と地方の政府間財政調整制度のあり方も含めた検討を進めることが必要と考える。

また、介護保険制度も、沖縄の置かれた状況や特性を考慮しながら、沖縄に適した柔軟な制度を作っていくべき例の一つである。本島が本土から距離を有しているだけではなく、いくつもの離島が存在する沖縄では、介護保険制度を実施するうえで不利な条件に置かれており、硬直的に全国一律的な介護システムを適用することが困難な場合もある。地縁的組織など長寿県沖縄ならではの資源を活かすことをはじめ、地域の実情にあった柔軟な運用を認めることにより、不利は不利でなくなり、日本の他の地域での問題解決に役立つヒントを得ることができるはずである。

なお、分権の受け皿として民主党は道州制を提唱しているが、歴史的にも地理的にも独自性の高い沖縄は、九州と統合した単位で検討されるべきではなく、単独の地域とすべきである。
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本論からはやや逸脱しますが、まず最初に言っておくとすると僕は道州制の導入には反対の立場です。色々と理由はあるのですが、地域の格差が余計に拡大することは目に見えていますし、過疎地は一層の過疎化が進むことになると想定されるからというのが1番でしょう。しかし地方自治が現在十分な形で進んでいるとは勿論考えていませんし、そのために施策を打ち出していくことの必要性は十分に感じています。それを前提の上に話を進めていきたいのですが、ここにもあるように民主党がここで言っているのは沖縄を地方自治推進の一種のモデルケースとしていくということであり、それ以上でもそれ以下でもないのです。

その他、たとえば言語教育の中に中国語を..というのも恐らく沖縄ビジョンがその筋の人たちに懐疑的に取り扱われた理由の1つだとは思うのですが、もし沖縄が本来のポテンシャルを発揮するようにと考えたときには必ず必要になる場面はあると思いますし、歴史的な背景を考えても意義のあることだとは思うんですけどね。(ただ個人的には外国語教育の前に国語をしっかりやれというのが持論としてあるので、その「やり方」の如何によってはあまり賛成はしませんが...)

このように、冷静に読んでみると民主党の「沖縄ビジョン」というものは決して一部のネット右翼が騒いでいるような内容のものではなく、それどころかかなり理にかなった内容のものであることが分かります。(まぁ騒いでいたネット右翼の皆さんのうちの何割が原典を読んだのかどうかは分かったもんじゃないですけど...)


2、隠される米軍基地再編計画
続きましてはこの話題。米軍の極東基地の再編計画が水面下で進んでいることは多くの人が知っているところだとは思うのですが、肝心の中身については殆どの人が正しく把握していないんじゃないかな?というのが僕の印象です。

そもそも日米はそれぞれの思惑から‘本当のところ’を理解してほしくないのでしょう。結論から言えば米軍は中長期的には基地を沖縄から完全に撤退させるつもりだからです。ちょっと前の記事ですが、こちらを読んでみて下さい。

・官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転(田中宇)
http://tanakanews.com/091210okinawa.htm


タイトルからして唖然ではあると思うのですが、実際には恐らくそうなのです。早かれ遅かれ沖縄から米軍の多くは撤退するのです。そもそも沖縄に基地を置いておくことでアメリカは軍事的なメリットが何かあるのかと言えば、実際には殆ど無いのです。たとえば件の普天間基地ですが、実は1年のうちあの場所にどのくらい米軍が滞在しているかというと、なんとたったの3分の1なんですね。つまり半年以上はオーストラリアだったり本土だったり戦地だったりと各地を転々としているワケですよ。しかもジェット機の高性能化や長距離ミサイルのことも考慮するなら殊更です。ではなんで沖縄に基地を置き続けるのかというと、日米双方の支配層に利益があるからに他なりません。前の記事で辺野古基地の計画がそもそも沖縄の本土復帰前からあったということはお話ししたと思うのですが、それがのちに再び具体案として浮上したのは、お金を出す人が見つかったからです。そう、日本政府です。グアムの移転計画にしても日本が何故かお金を出しているようですし、更には恐らく行方不明のジャンボ機が留まっているであろうディエゴ・ガルシアの基地も日本のカネで賄われていると言いますからもう訳が分かりません。とどのつまり、アメリカにしてみれば米軍基地再編成にかかる費用を日本に少しでも多く出させるためにこのある種の茶番を続けていると考えられるのです。ちなみにこれは余談ですが、思いやり予算はアメリカでも「Omoiyari Yosan」で通じるのだとか。(※どうしても英語にしなくてはいけないときは「Host Nation support(親中受け入れ国支援)」と言うそうですが...)

では日本には何の得があるのか?これが難しいところなんですね。一般的には「しなやきたちょうせんからまもってくれる」ということなんですが無論そんな単純な話ではありませんし、繰り返すようですが北朝鮮の事実上の宗主国はアメリカですし、同様に中国の軍部(そして上海閥)を裏からコントロールしているのはやっぱりアメリカ。つまりユダ金お家芸のマッチポンプなのですよw では実態としてはどうなのかというと、その答えは至極単純で、現在のレジーム(体制)を守るために過ぎないのです。安倍晋三もそうですが、満州アヘン人脈に端を発する日本の支配層というのはアメリカ(もといユダ金)とベッタリな連中ばかりです。そしてその庇護のもとに確立しているのが官僚機構とマスコミなのですが、もし「対米従属」という大前提が崩壊してしまったらそうした勢力は一気に力を失うとともに、国民の大いなる反逆を受けることとなります。それが怖いからアメリカにすり寄り、一日でも長い対米従属を続けようと、そしてその象徴である沖縄の米軍を歓迎しているのでしょう。


~おまけ:沖縄セールス~
   龍 30度/1800ml 【沖縄】【泡盛】
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価格:1,739円(税込、送料別)


さぁて本日ご紹介するのはこちらの商品。そうです、泡盛ですね。独特の味と匂いが「苦手だ」って人も多いと思うのですが、金武酒造の「龍」は比較的クセがなくて飲みやすいのが特色です。割モノはソーダでもコーラでも、はたまたルートビアでもいいのですが、ちょっとアルコールに自信(?)のある方は是非ともロックで一度飲んで貰いたいですね。

・我が家の食卓(撮影は9月19日)

お酒のお供には是非、そうめんチャンプルーなんかを作るといいと思います。ゴーヤはあまり得意じゃないのですが、ミミガーもいいですね。ちなみに現地のレシピに忠実にすると、ゴーヤチャンプルーも肉は入れないそうですよ。僕の場合は具材にトマトとシーチキンとアボガドを使うという大凡現地レシピとはかけ離れたものを作ってしまっているのですが、宅呑みにはこのくらいが丁度いいのですw 連載が終わったら木屋町の老舗沖縄料理屋「赤ひげ」で一杯呑みますよ。それを楽しみに頑張るのです。そんなところですが、本日はこの辺で失礼します,ジベリチャンプルー♪

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