2014年4月21日月曜日

映画レビュー:ポルノスター

ということで、今日は1998年公開の日本映画、「ポルノスター」のレビューを書きたいと思います。以前紹介した「ナインソウルズ」の監督である豊田利晃監督のデビュー作品である本作品、主演は千原兄弟の千原ジュニアさん。この頃の千原さんといえば、俗にジャックナイフなんて呼ばれていたワケですが、まぁこの映画での千原さんはまさにそのものといった感じでヤクザを文字通りメッタ刺しにするのです。(そして結果、主要人物の8~9割が死にますw)


豊田監督の作品は、以前紹介したナインソウルズとこの映画の他に、近々これもレビューを書こうと思っている「青い春」という映画の3つを鑑賞済みなんですが、この人の作品の特色としてはとにかく不条理なんです。カオスと言い換えてもいいでしょうか。とにかくその「不条理」で最後まで突っ走っていく、そんなイメージが全盛期の日活映画を想起させるところがあり、僕はわりと好きなのですが、勿論不満もあるワケで、この映画もナインソウルズ同様に人物描写というかそのキャラクターの背景みたいなのが殆ど描かれてないんですね。

・上條(鬼丸)は荒野を利用してのし上がろうと試みる

なので感情移入できないというか、今ひとつ入っていけないところがあるのは間違いないでしょう。特に千原さん扮する主人公の荒野は本当に何を考えてるのかサッパリ分かりません。(なんでヤクザが嫌いなのかも結局分からず仕舞いでしたし...)で、麿赤兒さん(大森南朋さんのお父さんですね、因みに)扮する組長なんだけど、これがまるで悪い人に見えない。

・ギャップルールってズルいよねw(左手が麿赤児さん扮する組長)

勿論見た目は文句なしの組長だし、最後荒野に殺されるときも最後まで毅然としてて大物感もあるんだけど、一番人間味があるっていうか、まぁそういう描写が多いんですよね。食事も質素で贅沢をやっているようはなく、クスリも女遊びもせず...。部下のために誕生日ケーキをプレゼントするシーンなんて、危うく泣きそうになりましたよ。上條かあの組長、どちらについていきたいかと聞かれれば、僕は迷わずあの組長についていきます。(それに上條も最後荒野に斬りかかったとき持ってたのは組長の刀だったし、何だかんだ言ってて慕ってたんじゃないのかな...)

・とりあえず一味に加えられた荒野(千原ジュニア、左端)だが...

ただ、奇しくもこの映画で描かれたことはその後当たり前のようになっていきます。「誰でもよかった」的殺人の横行であったり、或いは既存のヤクザが衰退して、関東連合をその典型とするある意味ではヤクザよりも質の悪い半グレが台頭するようになったり...。豊田監督が今のような未来を見据えていたのかどうかは分かりませんが、きっと何か感じていたものはあったのでしょう。

・ちなみにヒロインは2001年に加藤浩次と結婚した緒沢凛

それにしても1998年といえば僕はまだ小4で、つまるところ16年前ということになるのですが、まぁたかが16年、されど16年といったところです。なんか映像を見ていて98年の渋谷ってこんな感じだったんだとやや感慨深く思いました。(まぁ渋谷にはあまり行ったことがないのですがw)あと役者さんも勿論大分若くて千原さん以外にも今とはイメージの違う人もチラホラ居て、そういう意味でも楽しめるかもしれません。

・なぜか空からナイフが降ってくるの巻

僕はこれで豊田監督の作品を3つ観たワケですが、今のところ一番好きなのは次に紹介する「青い春」ですね。(で、その次にポルノスターかな?)あとナインソウルズ同様、この映画でもdipの曲が作品を盛り上げています。独特の世界感を持った豊田監督の作品は好き嫌いのハッキリ分かれるものだと思うのですが、前にも言ったように僕は嫌いじゃありません。ちょっとした週末の夜にでも、よかったら見てみてください。そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

・「ポルノスター」予告編
https://www.youtube.com/watch?v=wvCDwF7GQdw

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