2014年4月22日火曜日

映画レビュー:青い春

・主演の松田龍平さん(左)と共演の新井浩文さん(右)

ということで、昨日に引き続きの映画レビューですが、今回紹介する映画は同じく豊田利晃監督の「青い春」(2002年公開)。漫画家・松本大洋の同タイトル作品を映像化したものであり、今のところ豊田監督の映画の中では僕が一番好きな作品でもあるのですが、青春モノとは思えないほど、空気は重たくどんよりとしていますw



しかし考えてみてください。よしんば青春時代というものを、たとえば中~高校時代だとするとして、果たしてどれほどの人が明るい季節を過ごせるのでしょう。この映画は高校が舞台ですが、僕も明るい高校生活を謳歌できた人間ではなく、この映画とは些か異なるものの鬱蒼とした時間を過ごしていたように思います。だから一般的な学園モノに辟易としていたのです。「おいちょっと待て、俺はそんな楽しい時間を過ごしてない、俺の知ってる学校と違う」と。

・松田龍平さん(右端)や高岡蒼甫さん(後ろ左2番目)など若手実力派が勢揃い

そんなこともあって、この映画を見てある意味しっくりきたんですよね。青春なんてそんなもんだと。そもそも希望いっぱいにこの時代を生きていける人なんてひと握りなんですよ。大抵は何らかの希望がありつつも、漠然とした不安があったり、或いは将来になんの展望も見いだせず、それなのに周りの大人からは「若いんだから夢を持て」と急かされ、一方では「お前にできるのはこの程度」と将来を固定化される...。


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希望を持たされ、それを壊され、そしてどの道搾取される。それが「若者」なんですね。だからこその閉塞感、それは不良校生も進学校生もある意味同じなのです。敵は同じはずなのに、分断されてあたかも同世代を蹴落とすべき敵だと思い込ませる...実はそんな構図が‘青春’にはあるのかもしれません。



で、この作品を語る上でどうしても欠かせないのが伝説的ロックバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの存在なのです。「ドロップ」がエンディングになっているのをはじめ、「赤毛のケリー」や「モナリザ」といった曲も劇中で流れ、この作品の世界観をより強固なものとしています。特にエンディングの「ドロップ」は映画の終盤で本当に印象的な使われ方をしており、いつもこの曲を聴くとこの映画のワンシーンが頭に浮かぶのです。学園モノにミッシェル、かけ離れているようで何故かしっくりくる。なぜなら多くの人が描く青春は存在しない「地上の楽園」であり、実際のそれとは大きく乖離しているからなのです。混沌こそが青春、僕をはじめとして多くの人にとっては多分そうなんだと思います。(だから僕は決してあの時代に戻りたいとは思いませんw)そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

・青い春(予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=kxpuc-7lick

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