2012年8月8日水曜日

ひとつなぎの悪法

最近、にわかに巷でもようやく秘密保全法制という悪法の危険性について語る人が出てきましたが、まさにそのとおりであってこの法律が出来てしまえば事実上言論の自由が死滅するといっても過言ではないのです。一体どういうことなのか、この法律の制定に向けた過程を振り返りながら解説していきたいと思います。

①秘密保全法制とは?
国の安全、外交、公共の安全と秩序の維持に関する政府や行政機関が「特別秘密」と指定する情報を‘漏えい’すると「10年以下の懲役もしくは罰金」の厳罰で取り締まる法制。また国だけでなく独立行政法人や地方自治体、業務委託を受けた企業や大学が持つ情報も特別秘密の対象とされる。その他、知ろうとする市民も「扇動」や「未遂」などといった名目で取り締まることを可能にしている。(2012年4月8日のしんぶん赤旗より)

ここで言う「秘密」というのは極めて抽象的でぶっちゃけて言えば政府が「特別秘密」だと言えば何でも極秘情報とみなされ、それを流布した者を容赦なく取り締まることが出来るのです。こんなものが施行されればリチャード・コシミズさんなどのウォール街にとって不都合なブロガー(あ、俺もだw)は勿論、ツイッターを利用している有象無象の人々までもがしょっぴかれる可能性があります。反原発関連のツイートをした人、TPPの危険性をブログで指摘した人、消費増税の背景でIMFに多額の資金提供をしているという不都合な事実をリツイートした人...それらが全て取り締まられることになるかもしれないのです。またこの法制をめぐっては今年の4月にちょっとした騒動が起こっていたのです。

②政府、有識者会議の資料を一部改ざん
これまで述べてきたようにこの法律は国民の「知る権利」にかかわる重大なものなのですが、この法律を巡る非公開会議の配布資料が一部改ざんされて首相官邸ホームページに載せられていたのです。これは赤旗及び日本共産党の調べで明らかになったことのようなのですが、説明を求められた藤村官房長官はこの事実を認めたものの「会議の経緯は公開の議事要旨と配布資料で十分把握できる」と反省の色ナシ。(そもそも藤村さんに言いたいのですが、たとえそれが取るに足らない情報だったとしてもそれを判断するのはあなたではありませんし、だいたいそれを認めてしまえば何でもありになってしまいます。やっぱこの人たち国民をバカにしてますよ...。)最も由々しき事態は、ただでさえ危険な内容の法律がかくの如き経緯で定められようとしているということ。一体誰のための法律なのか、何を目的としているのか...限りなく危険な法律であることは間違いありません。

③目的はネット規制
言論の自由を脅かしているのはこの法律だけではありません。違法ダウンロード刑罰化(2012年著作権法改正→10月1日から施行だそうな...)や未だに議論の続いている児童ポルノ法改正案(単純所持の違法化。詳しくはこちらをチェック)なども、実はこの法律と同じ性格を有しているのです。そもそも「所持」しているかどうかが分かりにくく、もし見ていなかったとしてもスパムメールなどでそういった画像や違法ダウンロードした映像や音源を送りつけられていたらそれでも「所持している」とみなされることすら考えられうるのです。(実際アメリカではそういった誤認逮捕の先例があり、またFBIなどがそれを用いた別件逮捕を行っているという話しもあります。因みに日本より児童ポルノに厳罰を科しているアメリカですが、児童虐待や性的暴行事件は圧倒的に日本よりも多く、更に言えば「子どもの権利条約」にも批准していません。

まぁ要するにこれらの法律はすべて言論封殺を目的としたものであり、もっと言えばインターネットを規制するための‘ひとつなぎの悪法’なんです。ネット規制のバリューセットです。だからマスメディアはあまり積極的にこれらの法律の問題点について触れようとしません。ここ10年くらいメディアの不正を暴き続けてきたのはインターネットであり、彼らにとっても邪魔な存在なのでしょうから...。

 ④ACTA条約という恐怖
それから最後に一つ、現在世界で批准へ向けた動きのあるACTA条約について軽く触れたところで今日は終わりにしたいと思います。これは「偽造品の取引の防止に関する協定」という名の国際条約で、著作権を巡る国際的な法的枠組みを定めることを名目にしているのですが、この条約にはいろいろな問題があり、現在世界中でこの条約に対する反対運動が展開されているのです。(そうした中で欧州議会は先月これを否決したのです。EUが承認したものを秘訣するという異例のケースだったそうな。)

この条約の最大の問題点はいわゆる「ポリシーロンダリング」を認めていること。この言葉の説明はものすごくややこしいのですが、とりあえずここでは「実現したい政策があるとき、それを国内の議論に先立って外国と取り決めを結び‘外国との取り決め’であることを理由として国内法を成立させることが出来るとするもの」くらいの感じで解釈しといてください。ぶっちゃけ内政干渉なんですよ。事実としてこれ、誰かさんのやり方にピッタリじゃありません?国内での反対をよそにサミットで勝手に消費増税を公約として掲げてきたり、碌な議論もしていないTPPについてこれまた勝手に海外で参加の意思を表明して帰ってきたりしている誰かさんのやり方に...。

そしてこの条約の内包する重大な問題がネット規制。著作権侵害が疑われるサイトの強制シャットダウン等が明記されているもののその定義は曖昧であり、解釈によっては二次創作的なもの全てを禁止にしているとも捉えられてしまうのです。そうなればyou tube等の動画サイトは勿論、ブログもツイッターも事実上その存在を否定されることになりかねません。プロバイダには監視義務が強制され、ネット社会は自由を失うのです。(またこの条約は、それとは別にジェネリック薬品の取り締まりを明記したところもあり、医師会などからも反発が挙がっている模様。)

一方我が国はというと、この条約に去年ひっそりと署名していたのです!(あまりにひっそり過ぎて身内の民主党政権内からも批判の声が上がっているとか...。)ここ最近になってtwitterでも騒がれるようになり、市民団体は元より議員さんからも次々に懸念の声が上がるようになっているのですが、ホント野田政権は日本を滅ぼすことしか考えていないようですね。

とかく日本の文化と伝統を守るためにも、そして言論の自由と民主主義を守るためにもこれらの法律や条約に反対の声を上げていきましょう。「誰かが言ってくれる」、「こんな馬鹿げた法律が通るワケがない」...そんな甘い考えからはもう卒業して下さい。それがまかり通らないことは歴史を見れば明らかです。そんな意識の低さが独裁を許したのです、その「事勿れ主義」が今日まで原発を存続させてきたのです。いい加減にそこに気付いて下さい。そして声を上げましょう。民主主義は国民一人一人の意識無くしては成り立たないのですから。文章だけの退屈な記事でしたが最後まで読んで頂いてありがとうございました,ジベリ!

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