2014年5月30日金曜日

地方紙の逆襲④:全国紙の「ダメ」の理由(2)

ということで、滞っていた連載をまた進めていきます。前回に引き続いて今回の内容も全国紙が劣化していった理由が主になると思うのですが、またその前に恒例の気になった社説を紹介するコーナーへ。1つ目は今回もまた神戸新聞から。(最近神戸新聞は労働問題に関する記述が鋭いんですよね^^)

・中小企業/活性化につながる支援を(5月29日:神戸新聞社説)
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201405/0007002427.shtml

国内にある企業の99%以上は中小で、従業員の数でも7割を占める。企業が生み出す付加価値額の54%は、中小によるものだ。中小企業が日本の経済を支えている、と言ってもいいだろう。

これは記事の冒頭なのですが、これを大前提として踏まえている点が秀逸なのです。(実際忘れられてますからね、この辺の事実が...)しかし現実には上の記事のとおり中小企業というのは概して色々な問題を抱えているのであり、とりわけて問題なのが人材不足。つまりは後継者問題であり、或いは従業員不足ということになるのですが、おそらくその背景にあるのは1つには賃金を含めた雇用環境の厳しさであり、また2つには大学等になかなか求人情報が届かないところであると思うのですが、果たして安倍政権はどう対処するのか。(今のところ大企業への優遇策しか見られないので不安は高まる一方ですが...)記事にあるとおり、既に銀行や信用金庫の中には中小企業の支援をしているところが幾つかあります。こうした動きを後押しする仕組みを一刻も早く整えることが政府への至上命題であるように僕は思っています。2つ目は福井の地元紙である福井新聞から。話題は勿論、あの司法判断について。

・大飯原発差し止め判決 あまりに重い福島の教訓(5月22日:福井新聞社説)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/50564.html

判決でまず注目されるのは、原発から250キロ圏内の原告人すべてを原告適格と判断したことだ。福島事故で、同圏内の住民に避難勧告する可能性が検討された点を根拠として挙げた。過酷事故が起きれば、影響は250キロにとどまらない可能性もあり、こうした判断根拠は衝撃的である。

そうなんです。今回の判決で重要なのは、まずこの点なんです。そして文末にもあるように、その250キロとて影響の及ぶと想定される最高の範囲というワケではなく、実際にはそれ以上に影響が及ぶことも想定されるのですが、今後司法はどのような判断をしていくのか、引き続き見守りたいところであります。関電は控訴の構えであり政府も方針を変える気配はないので、まだこれで全てが解決したとは言えませんが、ともあれ記事の後半にあるとおり、今回の判決はともすれば災害列島・日本における原発そのものの存在否定に繋がりかねないものであり、そうした意味でも至極画期的な判決であったと言えるでしょうし、原発を取り巻く我が国の動向に重大な影響を及ぼすであろうことは言うまでもないと思います。それからもう1つ、こちらは福岡に本社を構える九州のブロック紙、西日本新聞の社説より。こちらは現在安倍政権が急ピッチでその実現を試みる集団的自衛権について。

・与党協議 事例に現実味はあるのか(5月28日:西日本新聞社説)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/91102

ただ、気になるのは、政府が出してくる事例が本当に議論のために適切なのか、という点だ。15事例には、国連平和維持活動(PKO)参加時の「駆け付け警護」など、事態発生の可能性がある程度予想できるケースもある。しかし、中には「そんな事態が実際に起きるのか」「そもそも可能なのか」と首をかしげたくなる事例が幾つも含まれている。

日刊ゲンダイの記事でも同じような事を書いていたのですが、結論から言えば安倍首相が与党協議の中で示していた事例の中には全く現実味がないものが幾つもあるのです。(しかも、それらの多くが個別の自衛権で対処できるという点も重要です。)そして記事はこう締めくくられます。

政府はまず「集団的自衛権の行使ありき」で、それに合わせて事例を考えているのではないか-との疑念さえ湧く。現実味の薄い事例に「北朝鮮や中国の脅威」のイメージを重ねることで、世論を「行使やむなし」に導こうとしているのであれば、看過できない。

その通り。政府は間違いなく結論ありきで議論という名の茶番を進めているようにしか見えません。僕はおそらく集団的自衛権は日中戦争と、殆どの国民が知らない間に準同盟国扱いとなったイスラエルのパレスチナ侵略に手とカネを貸すための地ならしに他ならないと思うのですが、何にせよこんな横暴を許してはいけません。

---------------------------------
では本題に戻りましょう。あ、そうそう。前回の内容について1つ、「日本にはクロスオーナーシップを規制する法律・規律などは1つもないのでしょうか?」という質問が来ていたのでお答えしたいと思います。結論から言うと、実はあるにはあるんですね。それが総務省令「放送局の開設の根本的基準」の9条3項にあたるのですが、ここに於いてテレビ局、AMラジオ局、新聞社の3事業を経営・支配することを原則禁止しているのです。しかし、これにはある但し書きが付いています。(以下はその文)

ただし、当該放送対象地域において、他に一般放送事業者、新聞社、通信社その他のニュース又は情報の頒布を業とする事業者がある場合であつて、その局が開設されることにより、その1の者(その1の者が支配する者を含む。)がニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれがないときは、この限りでない。

つまり、ほかにニュースを配信するテレビ局や新聞社がその場所にあれば問題ないとしているのです。成程日本には1つのテレビ局(ないし新聞社)からしか配信がないという場所はありませんので、結局のところ問題なしということになってしまうでしょう。要するに一種の言葉遊びにより全く意味を成さないものにされてしまっているのです。


②広告業者との癒着(ないし力関係)
それでは本題に移りましょう。もう10年くらい前ですが、週刊金曜日から「電通の正体」なる本が出されてちょっとした話題になりました。電通に関してはそもそもが満州アヘン人脈との繋がりがあったりして存在そのものが既にキナ臭いものとなっているのですが、ともあれ電通をはじめとする大手広告業者との癒着ないし力関係というのはマスメディアにとって大きな問題点となっているのは言うまでもありません。


なぜこのようなことになっているのか?それにはある理由があるのです。通例諸外国では1つの広告代理店が同一の分野の競合する会社の広告を掛け持つことは禁じられています。(一業種一社制)しかしながら日本ではこれを導入していないので、たとえばトヨタと日産とホンダの広告をいっぺんに電通が担うなんてこともあり得るのですね。これには広告代理店というもののできた経緯の違いがあると言われています。欧米では広告代理店は広告主の代理としてスタートしているのですが、日本においては媒体社(新聞社や出版社)の代理としてスタートしているのですね。そのため同じ業種の広告を同じ会社が受け持つということに対する違和感がそもそも希薄なのでしょう。

・海外の広告代理店は一業種一社制だが日本は違う(るいネット)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=285609

ちなみに新聞社の収入における広告収入の割合はだいたい20~30%後半であり、基本的に地方紙が低くて全国紙が高いと言われています。(ただそれ以上に全国紙や在京キー局は不動産の収入が多いなんて話もあり、有名な話ですがTBSは実業の5倍近い収入を赤坂サカスなどの家賃収入から得ていると言われています。)また電通や博報堂といった大手広告代理店は政府広報をも請け負っているため、このようなことも...。

・TPP推進政府広報、全国紙に税金1億4000万円。「電通」と業務契約(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-03/2012040301_06_1.html

これは2012年4月の日本共産党の機関紙・赤旗の記事からなのですが、それ以外でも消費増税の際にはやはり多額の血税が「政府広報」の宣伝費として使われたといいますし、しかもこちらのケースでは全国の大学への出前説明会まで行っている始末...。勿論これについては全国紙に限った問題ではなく、たとえば先述のTPPに関しては地方紙もその宣伝広告を載せているのであり、加えて今年3月11日には福島の2つの地方紙(ちなみに本来は復興への批判的な記事が目立っていたらしい)が政府広報の載った日の朝刊で、問題だらけの復興公営住宅を讃えるような記事をこれ見よがしに載せたという事件(?)もあったそうであり、この問題に関しては新聞業界全体の問題として扱うべきものなのですが、何にせよ広告業者(とりわけ電通)との力関係については今一度考える必要があると言えるでしょう。今回で終わりと言っていた連載なのですが、実はまだもう少し書きたいことがあるので最終回は次回ということにします。そんなところですが、本日はこれにて失礼します,ジベリ!

0 件のコメント: